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新任スタッフ紹介 31

モンゴル語史料の探求

オラーン(Borjigijin Ulaγan/Wulan)
(2014年1月外国人研究員着任)

私は中国社会科学院民族学・人類学研究所に所属する,内モンゴルのモンゴル族出身の研究員である。1978年に内モンゴル大學モンゴル語学部を卒業して,1997年に同大学で歴史学博士号を取得した。1996年からは北京へ研究の場を移し,中国社会科学院中国辺疆史地研究中心,ついで1999年以降,現在の民族学・人類学研究所において研究に従事している。この間,1986年に一年間,東京外国語大学小澤重男教授のもとで古典モンゴル語を学び,2004年には日本学術振興会外国人研究員として早稲田大学モンゴル研究所に在籍した。2007年には一年間,オラーンバートルのモンゴル国立大學モンゴル言語文化学院において,モンゴル国の研究者とともに「元朝秘史」に関する共同研究をおこなった。

専門はモンゴル語歴史文献とモンゴル史であるが,とくに12世紀から17世紀までのモンゴル人の歴史と文化を研究している。研究成果としては,Erdeni-yin Tobci, (Canberra: The Australian National University, 1990).『「蒙古源流」の研究』(瀋陽,遼寧民族出版社,漢語版2000年,モンゴル語版2005年),『「元朝秘史」校勘本』(北京,中華書局,2012年)などを出版している。

モンゴル民族の古典というべき「元朝秘史」あるいは「蒙古源流(Erdeni-yin Tobci)」に関する研究を通じて,わたくしは,いかなる民族の歴史研究をおこなう際にも,その民族がみずからの言葉で書き残した史料を重視すべきこと,同時に正確な校訂テキストを刊行すべきこと,さらには他言語で書かれた関係する史料をも比較検討すべきことを学んだ。モンゴル語歴史文献を研究する過程で,モンゴル人の歴史観の変遷に興味を持った。12世紀のモンゴル人が自らの歴史をどう認識していたか,だが17世紀に至ってモンゴル人の歴史観がなぜ変わったか,その原因と特徴を解明する方面へと関心は広がっている。

いままで何度か国外で研究する機会をえたが,それは私の研究の進展にきわめておおきな影響を与えている。この度,アジア・アフリカ言語文化研究所の招聘により,研究所の共同研究事業へ参加できることは無上の光栄である。本年7月末日までの短い滞在ではあるが,AA研が推進する共同研究事業の発展に寄与できればと考えている。


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