共同研究プロジェクト
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宣教に伴う言語学
研究実施期間 : 2006年度~2008年度

主査  豊島 正之

概要
 「宣教に伴う言語学」とは、所謂「大航海時代」のカトリック布教に伴う言語研究活動を指し、英語では既にMissionary Linguistics の語で定着している。

 主たる資料となる文献は、16~17世紀のスペイン・ポルトガルによる宣教活動に伴って生産された文法書、語彙集、辞書・字書、教義書、修徳書、その他の布教関連書籍、及び関連歴史文書(規約、年報、報告、書簡など)である。
 プロジェクト研究の目的は、次の通り。
(1)従来の日本の「キリシタン文献研究」の成果を以て、国際的な「宣教に伴う言語学」の共同研究活動の水準を高める事に寄与する。
(2)対訳辞書類に重点を置き、15-17世紀のスペイン・ポルトガルに於ける辞書編纂史、同時代の日本に於ける辞書・字書編纂史を基礎とし、日本語以外の他の言語(例:コンカニ語)の対訳辞書も素材として、辞書編纂史・語彙研究史の論点を整理する。
(3)宣教活動に伴って生産された各国語の文法書類の文法カテゴリーの仕分け・対象等の対象研究、関連歴史文書類の書誌学的研究など、従来の日本の「キリシタン文献研究」の延長上にありながら未だ殆ど手つかずの状態にある領域に踏み出す。



2006年度

 
研究会

2006年度第1回
日時 : 2006年5月15日(木) 
場所 : 東洋文庫
プログラム : キリシタン文献の書誌(東洋文庫所蔵原本をめぐって)

【参加者】
石塚晴通(北海道大学名誉教授)
岸本恵実(大阪外国語大学助教授)
白井純(信州大学講師)
豊島正之(AA研)


【内容】 
キリシタン文献調査

次の2つの貴重書について、東洋文庫特別本閲覧規程に則り、原本を調査した。
1、キリシタン版「ドチリナキリシタン」(1592年天草刊、重要文化財)、
2、「スピリツアル修行」(写本)

特に、版式、用紙、装本、印行・書写過程の形跡など、原本に拠らずしては調査が困難な書誌項目を綿密に調査し、1 と他の(後の)キリシタン版本との版式の比較、2と他のキリシタン文献写本の用紙法との共通点の確認、などを行なう事を得た。             
           (豊島正之)


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プロジェクト・メンバー
[主 査] 豊島正之

[共同研究員] 岸本恵美、白井純、丸山徹