共同研究プロジェクト
本文へジャンプ
ドイモイの歴史的考察


研究実施期間 : 2004年度〜2006年度 ※1年延長して2007年度まで実施予定。

主査  栗原 浩英

概要

ドイモイ(刷新)政策がベトナム共産党の公式な政策として提起されてから,すでに18年が経過しようとしている。この間に,ドイモイはベトナムの党・国家の諸政策(政治・経済・軍事・外交・文化等),社会,国民の価値観のあり方に大きな変化をもたらした。同時にその問題点も顕在化しつつあり、いまやドイモイを総括すべき時期に入っているといってよい。

 しかし,この間にドイモイを対象とした研究はどれほど進展したといえるだろう。国内外のドイモイ研究に目を向けると、分野ごと(政治、経済、外交、軍事、法律など)のアプローチや各種調査の類が多く、ドイモイの全体像が見えないものが多い。とりわけ,ドイモイ研究の展開に際して不可避であると思われる次の2点に関して,議論が深化されないままの状態を続けておくことは許されないであろう。それは,第一に,ドイモイの起源に関わるテーマであり,その中には,@ドイモイの開始に際しての南ベトナムの役割,Aレ・ズアン時代末期(1979年〜85年)の一連の改革政策(通貨改革,農業における生産物請負制など)とドイモイの関連性をどのように評価するかという問題が含まれる。第二には,一党独裁下における市場経済導入,経済発展優先志向などの点で,ドイモイと共通すると思われる改革政策が他国にも存在する(した)事実に着目して,ドイモイを一国の枠組から脱却して考察する必要性があるではないかということである。具体的な事例としては、(1)ドイモイの指導段階におけるソ連のペレストロイカとの関連性、(2)中国の改革・開放政策とドイモイの関連、(3)開発独裁体制との類似性などが上げられる。
 本プロジェクトは,以上のような問題認識に立って,大きく二つのアプローチに依拠しながら,ドイモイ研究の新境地開拓をめざそうとするものである。第一には,ドイモイにおけるベトナム固有の要因を探究するために歴史的なアプローチを援用していく。具体的なテーマとしては、(1)ドイモイの期限に関わる諸問題(南ベトナムの存在とドイモイ、レ・ズアン時代末期の改革政策の位置付け、北部におけるドイモイに先行する諸現象、ソ連におけるペレストロイカの影響)(2)ドイモイ以前の旧体制=集団主義体勢の構造を明らかにするとともに記録する、(3)ドイモイにおける根幹部分と付随的な部分は何か、(4)ドイモイにおける社会主義的性格はどこに残存しているのか、が挙げられる。第二には、体制比較を通じて、ドイモイのもつ普遍的な側面を解明することである。比較の対象としては、中国の改革・開放政策、ラオスの新思考政策,移行経済諸国(旧ソ連、東欧など)、インドネシアの開発独裁体制が想定されるが、比較するための基礎を厳密に定義するとともに、体制間の接触、相互作用にも注意していく。



2006年度


研究会

 日時 : 2006年7月22日(土) 10:30〜14:00
 場所 : AA研マルチメディア会議室(304室)
 プログラム :
  栗原 浩英(AA研)
   「中越関係の時期区分について(1950年〜現在)」


プロジェクト・メンバー
[主 査] 栗原浩英
[所 員] 根元敬
[共同研究員] 石井明、加藤弘之、白石昌也、鈴木基義、竹内郁雄、吉田元夫、今村宣勝