Part 1-1 :: Islam, Religion of Unity by Prayer

イスラームとサハラ以南アフリカ


 アラビア半島のメッカに生まれたムハンマドは、自身が唯一神アッラーから啓示を授けられた預言者であると自覚し、7世紀前半に一神教であるイスラームを興した。メッカ(マッカ)で多神教徒の住民に迫害されたものの、ムハンマドとその支持者たちは教勢を拡大して逆にメッカを抑えた。そしてムハンマドの他界後、イスラームはムスリム(イスラーム教徒)によって世界各地に広められていった。

 アフリカ大陸の中でサハラ砂漠より南に位置する地域を「サハラ以南アフリカ」と呼ぶ。現在サハラ以南アフリカにおいてもイスラームは多数の信者を擁し、極めて重要な宗教となっている。

 アフリカ大陸では、8世紀初頭までにエジプトからモロッコに至る地中海沿岸部がムスリムの支配下に入った。その後サハラ以南アフリカ各地にイスラームが伝播し、信者を増やしていった。その結果、莫大な量の黄金を携えて人々を驚かせ、その名声がヨーロッパにまで伝わった西アフリカのマリ帝国の君主マンサ―・ムーサ―(在位13121337年頃)をはじめとして、サハラ以南アフリカから多くのムスリムが聖地メッカに巡礼するようになった。西アフリカ内陸部からスーダンを経由する巡礼ルートも成立した。その一方で中東からサハラ以南アフリカ各地を訪れる商人も増加し、両地域の交流が活発になっていった。そのような交流の中で築き上げられたイスラームのネットワークは、宗教思想や知識、ヒトやモノの移動を媒介し、エチオピア西部のイスラーム化においても重要な役割を果たしたのである。

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アフリカ大陸内のメッカ巡礼ルート