第2回コロキアム「フィールドサイエンスと空間情報科学(1)」

「古地図デジタル化の可能性について」
 石松久幸氏(カリフォルニア大学バークレー校東アジア図書館)

カリフォルニア大学バークレー校東アジア図書館には、約10万点に及ぶ旧三井文庫コレクションが収蔵されており、その中には、三井宗堅(たかかた1882-1950)収集の江戸時代から明治にかけての日本古地図2,298点が含まれている。これらの地図、さらに追加されたものの中から選ばれた、一枚ものと冊子体の地図約1,200点の高精細デジタル画像が、同図書館のサイトで完全一般公開されており古地図の研究に新たなペースペクテイブを与えるものとしていま世界的な注目を集めている。このサイトによってこれまで貴重書扱いであったためなかなか一般には容易には見ることのできなかった古地図が全世界のあらゆるところから自由にアクセスすることができるようになった。

このサイトの画像は単なるイメージの提供に留まらず、同時に提供されているツールを用いて、より有効に地図を活用できるよう配慮されている。たとえば、ズームインによって地図の微細な部分まで確実に読みとれる高精細な画像データ、原形の大きさに比例する画像表示、任意の複数地図の同一画面表示、メタ・データの表示、個々の研究者の目的に応じた新たなファイルの作成、研究ノートの書き込み、他のウエッブサイトとのリンクなどの機能が付随している。さらにGIS対応のブラウザーを用いて、何枚もの新旧の地図の重ね合わせや、現代の地形図、空中写真、衛星画像との重ね合わせが可能である。またGoogleEarthをプラットホームとしてその上に古地図を重ね合わせ、グーグルの機能をフルに利用して古地図を回転させたり、ズームイン、さらに立体化するという試みも新しいプロジェクトとして現在進行中である。

カリフォルニア大学バークレー校東アジア図書館所蔵
日本古地図デジタル化サイト
http://www.davidrumsey.com/japan/index.html