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2018年度言語研修


2018年度は,ヨルバ語,メエ語(エカリ語)(東京会場),土族語(大阪会場)の講座を開講しました。

ヨルバ語

ヨルバ語
研修期間
2018年8月16日(木)~2018年9月13日(木)
午前9時00分 ~ 午後4時10分 ただし, 8月16日(木)午前10時5分~午後3時 5分,9月13日(木)午前10時5分~午後0時10分 (土曜日,日曜日は休講 )

研修時間
120時間

研修会場
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所
(〒183-8534 東京都府中市朝日町3-11-1)

講師
主任講師:塩田勝彦(しおた かつひこ)大阪大学他非常勤講師
1992年より98年までオーストリアのウィーン大学アフリカ研究所留学。
アフリカ言語学を学ぶかたわら,96年から98年までウィーン大学でヨルバ語の非常勤講師を勤める。
2000年より大阪外国語大学でハウサ語,ヨルバ語,アフリカ言語学等を教え,2007年から2012年まで大阪大学世界言語研究センターにて特任助教。2012年より現職。
研究分野はアフリカ言語学,ヨルバ語学文学,ハウサ語学文学。
ネイティブ講師:Olagoke ALAMU(オラゴケ アラム)エキティ州立大学准教授
2008年までナイジェリア・アバのナイジェリア言語研究所にて勤務。
2008年から2012年まで大阪大学世界言語研究センター特任准教授。
2009年には大阪大学の語学研修で75時間のヨルバ語コースを担当する。
2012年より現職。研究分野はヨルバ語学文学

受講料
72,000円(教材費込み)

教材
『ヨルバ語文法』(塩田勝彦著)
『ヨルバ語読本』(塩田勝彦,オラゴケ・アラム著)

文化講演
  • 日時:2018年8月24日(金)15:00–16:00
  • 講演者:小野田風子(おのだ ふうこ)(大阪大学大学院博士後期課程)
    題目「アフリカ諸語文学の深みと広がり」
  • 日時:2018年8月31日(金)15:00–16:00
  • 講演者:緒方しらべ(おがた しらべ)(九州大学PD研究員)
    題目「ヨルバランドの地方都市の「アート」」
  • 日時:2018年9月7日(金)14:00–16:00
  • 講演者:中村博一(なかむら ひろかず)(文教大学人間科学部教授)
    題目「ヨルバ・ナリウッドにおける呪術性」

講師報告

1. 研修の概要 詳細

○研修期間:
2018年8月16日(木)~2018年9月13日(木) 午前9時00分 ~ 午後4時10分 ただし, 8月16日(木)午前10時5分~午後3時 5分,9月13日(木)午前10時5分~午後0時10分 (土曜日,日曜日は休講 )
○研修時間:
120時間
○研修会場:
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所

本研修は2018年8月16日(木)から2018年9月13日(木)までの21日間,1日あたり6時間,合計120時間実施した。
会場は,東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所マルチメディア会議室(304)を利用した。

2. 講師 詳細

○主任講師:
塩田勝彦(しおた かつひこ)大阪大学他非常勤講師
○ネイティブ講師:
Olagoke ALAMU(オラゴケ アラム)エキティ州立大学准教授
文化講演者:
小野田風子(大阪大学大学院博士後期課程),緒方しらべ(九州大学PD研究員),中村博一(文教大学人間科学部教授)

3. 教材 詳細

  • ①『ヨルバ語文法』(塩田勝彦著)
  • ②『ヨルバ語読本』(塩田勝彦,オラゴケ アラム著)

①は文法説明と練習問題からなり、②は会話(挨拶から始まり、様々なシチュエーションでの会話まで)、現地の小学校の教科書(二年生~三年生)、民話(トリックスター民話)、小説の部に分かれている。

4. 受講生詳細 詳細

東京外国語大学学部生2 名(うち1 名は二日で脱落)、他大学院生1 名、社会人1 名、およびAA 研所員の聴講生 1 名。出席状況は良好。4 名全員が最後まで残り、所員を除く3 名が修了証書を手にした。
受講動機は、学部生は夏休みを充実させたいため、大学院生は文化人類学が専攻で、ナイジェリアをフィールドにしたいため、社会人は語学全般に関心があり、アフリカの言語は初めてだったからとのこと。

5. 文化講演 詳細

8月24日(金):「アフリカ諸語文学の深みと広がり」
8月31(金):「ヨルバランドの地方都市の「アート」」
9月7日(金):「ヨルバ・ナリウッドにおける呪術性」

6. 授業 詳細

本講座では、修了後は各々が独習していくことのできる程度の語学力を身につけることを目的とした。
前半はそのための文法、発音、語彙を学び、後半は学んだ内容を固定するため読本を中心に進めた。毎日の時間割はおおむね、午前中は塩田による文法の講義と講読、午後はアラム先生による会話や作文の練習を行った。研修前半は文法の授業に多くの時間を割いたが、徐々に講読の時間を増やし、最終週は一日の大部分を講読にあてた。最終的に、文法40 時間、講読36 時間、会話40 時間、文化講演 4 時間となった。

7. 研修の成果と課題 詳細

修了後には一人で学んでいける程度の語学力、という当初の目標は十分に達成できたと考えられる。予備知識ゼロの状態から初めて、最後には民話を独力で読み進めるところまで進み、簡単な手紙程度の作文もできるようになった。
ヨルバ語は声調が複雑で、当初は受講生もかなり苦労したように見えたが、アラム先生の熱心な指導により、最終的には全員、コミ ュニケーション可能な程度の発音も身についた。塩田はウィーン大学、大阪大学等でヨルバ語を教えてきた経験があるが、今回の受講生はそれらを上回る成果を上げたといえるだろう。
課題としては、ヨルバ語は現代的な辞書が入手困難であるなど、独習環境が整っているとは言い難いため、受講生が今後も学習を続けていくことが実質的に難しいことをあげねばならない。しかし、現代はインターネット環境もあり、現地に行かなければ知りえなかった情報にも簡単に触れられることを考えれば、塩田がヨルバ語研修を受講した 1984 年に比べ、独習者の置かれた環境は飛躍的に改善しているとも言える。辞書など教材の充実は、我々研究者に与えられた宿題として、今後も取り組んでいきたい。

8. おわりに 詳細

まずは最後まで熱心に受講していただいた受講生の皆さん全員の熱意に感謝したい。文化講演者の皆様には、限られた時間内で、貴重なお話を聞かせて頂いたことにお礼申し上げたい。ネイティブ講師のアラム先生には期間中はもちろん、準備の段階から大変お世話なった。心よりお礼申し上げたい。最後に、AA 研事務の皆様に深く感謝いたします。

メエ語(エカリ語)

メエ語
研修期間
2018年9月3日(月)~2018年9月14日(金)
午前10時00分 ~ 午後4時15分 (土日は休講)

研修時間
50時間

研修会場
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所
(〒183-8534 東京都府中市朝日町3-11-1)

講師
主任講師:塩原朝子(しおはら あさこ)アジア・アフリカ言語文化研究所准教授 准教授
2006年,東京大学にて博士号(文学)取得。
1999年4月,東京外国語大学に着任,2006年4月より現職。
インドネシアのオーストロネシア系言語・非オーストロネシア系言語の両方を調査・研究している。
ネイティブ講師:Nawipa Dance(ナウィパ ダンチェ)ジャヤブラ第四高校
パプア人。メエ語の母語話者。
東京外国語大学で日本語を学び,現在現地の日本語教育に精力的に携わっている。

受講料
30,000円(教材費込み)

教材
『メエ語(エカリ語)調査ハンドブック』(塩原朝子,Nawipa Dance著)

文化講演
  • 日時:2018年9月6日(木)14:10–16:15
  • 場所:AA研マルチメディアセミナー室(306)
  • 使用言語:日本語
  • 講演者:千田俊太郎(ちだ しゅんたろう)(京都大学)
    題目「ニューギニアの諸言語の人稱代名詞」
    講演者:稲垣和也(いながき かずや)(南山大学)
    題目「オーストロネシア諸語の辞書作り 」

講師報告

1. 研修の概要 詳細

○研修期間:
2018年9月3日(月)~2018年9月14日(金)
午前10時00分 ~ 午後4時15分 (土日は休講)
○研修時間:
50時間
○研修会場:
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所

本研修は2018年9月3日(月)から2018年9月14日(金)までの10日間,1日あたり5時間,合計50時間実施した。
会場は,東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所マルチメディアセミナー室(306)を利用した。

2. 講師 詳細

○主任講師:
塩原朝子(しおはら あさこ)アジア・アフリカ言語文化研究所准教授 准教授
○ネイティブ講師:
Nawipa Dance(ナウィパ ダンチェ)ジャヤブラ第四高校
文化講演者:
稲垣和也(南山大学) ,千田俊太郎(京都大学)

3. 教材 詳細

  • 『メエ語(エカリ語)調査ハンドブック』(塩原朝子,Nawipa Dance著)

ハンドブックには以下の事項を掲載した。
1)研修に先立つ基礎知識:メエ語の社会言語学的背景、研修での調査の進め方、先行研究のガイド
2)研修で用いる調査シートとあらかじめ収集してあったメエ語の短いテキスト

4. 受講生詳細 詳細

受講生10 名のうち、7 名は大学生・大学院生(うち1 名は本学の科目履修生)、3 名は社会人であった。
類型論的に珍しい特徴を有するパプアの言語に対する言語学的興味から参加した受講生や将来的にフィールド調査に基づく研究を希望する受講生が多く、調査に対する意欲は皆様非常に高かった。出席率も高く、受講者各自が設定した、メエ語を対象とした調査課題についての発表を行った上で修了された。

5. 文化講演 詳細

9月6日(木):
千田俊太郎(京都大学)「ニューギニアの諸言語の人稱代名詞」
稲垣和也(南山大学)「オーストロネシア諸語の辞書作り」(非)
講師はそれぞれパプア・ニューギニア、インドネシアでの豊富なフィールドワーク経験を持つ研究者であり、質疑応答ではフィールドでの体験に基づく貴重な話を聞くことができた。

6. 授業 詳細

メエ語「フィールドメソッド」と題したこの研修では、教科書を用いて行う一般的な研修とは異なり、受講生がメエ語話者のナウィパ講師とセッションを行うことにより、自分たちでメエ語の音声や文法について明らかにする試みを行った。
ナウィパ講師は日本語が堪能だったため、研修期間全体を通して受講生がナウィパ講師に直接質問をすることにより研修を進めた。研修前にあらかじめ計画してあった課題は、最初にスワデシュのリストに従って 200 程度の単語を収集すること、それに続いて動詞の活用を調べること、適切なタイミングで自然発話のテキストを収集することの三点のみで、それ以外は主に受講生の希望に基づいて、適宜調査内容を決めた。研修の詳細を以下に示す。
1. 単語調査:研修初日から 2 日目にかけて、上述のリストに沿って単語調査を行った。その過程でメエ語の音素を立てることができた。この時点で不明点が多かったトーンのシステムについては今後の調査で徐々に明らかにしていくことにし、次の段階に進んだ。
2. 動詞の活用の調査:研修 2 日目の午後から文法事項の調査を始めた。メエ語の文法における最も大きな課題の一つは動詞の活用であるが、4 日目までには、先行研究の助けを借りつつ、時制のカテゴリー、人称接辞の種類、語幹のタイプの概略を把握できた。
3. 音声の録音・アノテーション付与の実習:1 週目の最終日である 5 日目に、言語ドキュメンテーションのトレーニングとして、録音とアノテーション付与の実習を行った。具体的には、ナウィパ講師に話してもらった短い物語を三つのグループに分かれて録音し、それを各自がソフトウェア ELAN に取り込み、書き起こし、翻訳などのアノテーション付与を行なった。
4. 個々の項目に関する調査:2 週目は、個々の受講生が各自の興味に基づいて作成した質問票に沿って全員で調査を行った。扱ったテーマは、自他交替、与格接辞の機能、動詞連続、複文の構造、情報構造などの文法的事柄から、色彩のカテゴリー、天気・天候に関する語彙、メエの社会などの社会的・文化的事柄まで多岐にわたった。最終日は各自が設定したテーマに関して個別に聞き取り調査とそのまとめを行い、午後にそれぞれがプレゼンテーションを行った。1週目に保留となっていたトーンについても、受講生の一人が発表をし、議論を行ったことで一定の結論をみた。
10 名の受講生が一人の話者から共同で聞き取りを行うという形であったため、思うように参加できない受講生がいることを心配していたが、受講生とネイティブ講師双方の意欲に支えられ、順調に研修を進めることができた。
第 1 週は受講生が順番に質問役を務め、他の受講生が補助を行うという形で進めた。毎朝受講生の一人が前日の内容のまとめを発表することにより、調査内容を共有した。第 2 週は希望する受講生が質問票を用意し、聞き取り調査を主導するという形で進めた。その際、他の受講生も質問の意図を共有した上で補助的な質問を行ったり、仮説の修正を提案したりして自発的に関わり、共同での調査がうまくできていたように思う。

7. 研修の成果と課題 詳細

前述の通り、受講生は全員各自の興味に沿った調査を行い、その成果をまとめて発表することができた。このことから言語調査・ドキュメンテーションの基礎を身につけるという研修の目的は十分に達成されたといえる。 受講生は全員、研修終了までにメエ語の述語の構造、動詞の活用をはじめとする文法の概略を理解できており、今回の研修内容を発展させる形でメエ語の調査・研究を行う基盤ができた。フォローアップミーティングやナウィパ講師との交流を通して、受講生がメエ語の調査・研究を続けていけるようにサポートすることが今後の課題である。

8. おわりに 詳細

今回の研修が成立したのは、一重にネイティブ講師のナウィパ先生のご尽力のおかげである。私も受講生もナウィパ先生のメエ語の知識を私たちに伝えようとする熱意に深く感謝している。また、研修期間を通して、積極的な発言を通して強い調査・研究への意欲を示し、緊張感のある場を維持してくださった受講生にも深く御礼申し上げる。受講生の皆様には今回の研修を生かし、何らかの形で、可能であればメエ語、そうでなくてもアジア・アフリカの研究未開発言語の調査・研究を継続していただきたい。 最後に、教材作成やナウィパ先生の旅行手続きを辛抱強くサポートしてくださった研究所拠点係の皆様、特に梅山さん、高橋さんにも厚く御礼を申し上げる。

土族語

土族語
研修期間
研修期間:2018年8月1日(水)~2018年8月31日(金)
午前10時00分 ~ 午後5時40分 (土日及び 8月13日~8月15日は休講)

研修時間
120時間

研修会場
貸し会議室 日本研修センター十三

講師
塩谷茂樹(しおたに しげき)大阪大学言語文化研究科教授
1991年,京都大学大学院文学研究科言語学専攻博士後期課程単位取得退学。
1995年4月,大阪外国語大学専任講師として着任。2009年4月より現職。
研究分野はモンゴル言語学(特にモンゴル語形態論及び語彙論研究),モンゴル口承文芸(特にモンゴルのことわざと民話研究)。
何 菊紅 (カ キクコウ)大阪大学言語文化研究科言語社会専攻大学院博士前期課程 大学院生
2014年,中国青海民族大学外国語学院日本語専攻卒業。
2017年4月より大阪大学言語文化研究科言語社会専攻大学院博士前期課程に在籍。

受講料
72,000円(教材費込み)

教材
『土族語文法』(塩谷 茂樹,何 菊紅 著)(2.36MB)

文化講演
  • 日時:2018年8月7日(火) 16:40–17:40
  • 場所:貸し会議室 日本研修センター 十三
  • 使用言語:日本語
  • 共催:AA研
  • 講演者:塩谷茂樹(大阪大学教授)何菊紅(大阪大学大学院生)
    題目「民和土族概況」
  • 日時:2018年8月17日(金) 16:40–17:40
  • 場所:貸し会議室 日本研修センター 十三
  • 使用言語:日本語
  • 共催:AA研
  • 講演者:塩谷茂樹(大阪大学教授)何菊紅(大阪大学大学院生)
    題目「ナドン祭り」
  • 日時:2018年8月24日(金) 16:40–17:40
  • 場所:貸し会議室 日本研修センター 十三
  • 使用言語:日本語
  • 共催:AA研
  • 講演者:塩谷茂樹(大阪大学教授)何菊紅(大阪大学大学院生)
    題目「民和土族語の特徴」

講師報告

1. 研修の概要 詳細

○研修期間:
2018年8月1日(水)~2018年8月31日(金)
午前10時00分 ~ 午後5時40分 (土日および8月13日~15日は休講)
○研修時間:
120時間
○研修会場:
貸し会議室 日本研修センター十三

本研修は2018年8月1日(水)から2018年8月31日(金)までの20日間,1日あたり6時間,合計120時間実施した。
会場は,貸し会議室 日本研修センター十三を利用した。

2. 講師 詳細

○主任講師:
塩谷茂樹(しおたに しげき)大阪大学言語文化研究科教授
○ネイティブ講師:
何 菊紅 (カ キクコウ)大阪大学言語文化研究科言語社会専攻大学院博士前期課程 大学院生
文化講演者:
主任講師、講師が担当

3. 教材 詳細

  • 『土族語文法』(塩谷茂樹,何 菊紅 著)

土族語・民和方言(民和土族語)無文字言語のため、教材はすべてラテン文字表記で主任講師と講師の二人で作成した。まず基本となる『土族語文法』は、文字と発音、格語尾、人称代名詞、再帰所有語尾、指示代名詞、名詞述語文、動詞述語文、各種動詞語尾、アスペクト表示、定型表現、文末助詞、接尾辞など全21課からなる。また『土族語例文・会話』は、それぞれ例文が全20課、会話が全21課からなり、各例文に見られるキーワードとなる一つの単語を取り上げ、『土族語語彙』という形で編纂した。さらに『土族語作文』は、等位copula、存在copula、感嘆文、未来、現在の継続習慣、過去、過去からの継続、定型表現など、文法事項のテーマ別にねらいを設定し、全27課の日本語から民和土族語への作文問題を作成した。

4. 受講生詳細 詳細

受講生は学部生 1 名、大学院生 3 名、大学非常勤講師 1 名の合計 5 名で、全員がモンゴル語既習者であった。また受講動機は、モンゴル系の孤立語で学ぶ機会が皆無の希少言語であるとか自分の専門言語との関連性といったアカデミックな理由が大半を占めた。1 名が家庭の事情で途中出席できなくなったが、残りの4 名が出席良好、成績優秀で無事修了した。

5. 文化講演 詳細

8月7日(火):「民和土族概況」
民和土族語が話されている地域の土族の地理的位置・人口・地形・機構・農作物を始め、広く衣食住に関して概況を説明した。受講生からは、とてもわかりやすいと好評であった。
8月17日(金):「ナドン祭り」
民和土族に古くから伝わるナドン祭りについて、伝説・実施地域・期間を始め、祭りの意義とその由来を説明した。受講生からは、中国の民間信仰との関連性の指摘があった。
8月24日(金):「民和土族語の特徴」
民和土族語の特徴を、母音・音節・アクセント・子音・文法の5つの点から、特にモンゴル文語・現代モンゴル語と比較しながら、さらに詳細な項目別に分類し概説した。受講生からは、今後の研究の参考にしたいとの意見が出された。

6. 授業 詳細

2018 年8 月1 日(水)~2018 年8 月31 日(金)までの週5 日、1 日6 時間、全4 週、合計 120 時間で行われた。120 時間の内訳は、基本的に1課1時間の原則を順守し、「文法」が全 21 課 21 時間、「作文」が全 27 課 27 時間、「会話」が全 21 課 21 時間、「例文」だけは、モンゴル文語・現代モンゴル語との比較を念頭に置いて、1 課2 時間を要して詳細に説明を加え、全 20 課 40 時間を費やした。また 4 週の各週最終日の 5 時限目に、授業の内容の理解を問う「小テスト」を計 4 回 4 時間、さらに 1 週から 3 週の各週最終日の 6 時限目に、文化講演を計3 回 3 時間、4 週目の研修最後の授業に「総括」として1 時間、民和土族語のまとめとして説明を補足した。その他、2 週から4 週にかけて、各週 1 回、中日3 日目に、「内容調整」と題し、受講生からの質疑応答の時間を、計 3 回3 時間設けた。

7. 研修の成果と課題 詳細

今回の言語研修のねらいは、当初から一貫して、民和土族語における「基礎語彙の習得」と「文法体系の概観」の 2つであった。そのため、とりわけ「例文」に見られる各文のキーワ ードとなる単語(基礎語彙)の学習には、できる限りその来源を明らかにすべく十分時間を割いて丁寧に説明した。受講生全員がモンゴル語既習者であったため、特にモンゴル起源の語彙に対しては、民和土族語への変化発展の過程も併せて説明した。一方、もう一つの「文法」の概観に関しては、従来の「文法」書そのものの学習の上に、さらに文法事項のねらいをテーマ別に設定した日本語から民和土族語への「作文」問題を同時に併用させることによ って、当該言語の文法体系をより具体的かつ総括的に概観できるよう工夫した。
具体的に言えば、例えば、2018 年8 月1 日(水)の研修初日の 1 時限に民和土族語のまず「文法」を教え、その直後の2 時限目、3 時限目にすぐに日本語から民和土族語への「作文」の授業に入るといった方法である。この教授法は、当初から受講生に好評であり、受講生の日頃の積極的な学習も功を奏し、4 週の各週最終日に行った授業内容の理解を問う 4 回の「小テスト」の成績が、平均正解率 90%を超える高得点であったことは、研修成果の一つとして特筆すべき点であろう。ちなみに、最初の 2 回の小テストは、語彙編 25 題、文法編 25 題の合計50 題(各2 点)の問題を、最後の2 回の小テストは、語彙編20 題、文法編 20 題、さらに書き取り(講師が読み上げる土族語文をローマ字で書き写す問題)2 題、日本語訳(講師が読み上げる土族語文を日本語に訳す問題)2 題の合計44 題(語彙・文法各 2 点、書き取り・日本語訳各5 点)の問題を、それぞれ作成した。
さらにもう一つの成果と言えば、講師の方で予め準備した 4 冊の教材内容は、研修期間中に過不足なくすべて終了し、質量ともに受講生に好評だった点である。
一方、民和土族語の教材は、海外でも数少なく、日本ではこれが初めての試みであった。そのため、等位・存在 copula や各種の動詞終止語尾に見られる主観形式:客観形式の詳細な弁別方法は何か、また無意志(非制御non-control)動詞の一部に見られる対応関係の不均衡さをいかに説明すべきか、さらには客観形式表示動詞(常に客観形式のみを取る動詞)を民和土族語の文法体系の中でどのように位置づけるべきかなど、いくつかの問題点も今回の研修で明らかとなったが、これらは今後に残された課題である。

8. おわりに 詳細

120 時間の土族語言語研修が、当初の計画通り無事成功裏に終了したことに対し、受講生の皆さんを始め、AA 研の先生方及び事務職員の方々に心から感謝申し上げます。

2018年度 言語研修募集要項

この研修はアジア・アフリカ地域での現地調査・研究や専門的業務に役立つ現地語の習得を目指す短期集中型語学研修です。
日本の専門研究者と母語話者とが一緒に教授にあたる生きた言語教育である点が特徴です。
今年度は,ヨルバ語,メエ語(エカリ語),土族語の言語研修を実施しますので,受講希望者は下記によりお申込みください。

募集要項(共通事項)

1. 募集言語ヨルバ語,メエ語(エカリ語),土族語
2. 募集人員各言語 約10名
3. 募集期間2018年5月1日(火)~ 2018年5月25日(金)
 受付時間 午前9時30分~午後5時(正午~午後1時を除く)
 持込みの場合,土・日・祝日を除きます。
 郵送の場合は,5月25日(金)必着です。
 Eメールの場合は, 5月25日(金)日本時間午後5時必着です。

※平成30年度夏期言語研修の募集は終了しました。
4. 応募資格大学在学生,大学卒業者または上記の目的に必要な学力及び動機をお持ちの方であれば,ご応募いただけます。
5. 応募方法所定の受講申込書に必要事項をご記入の上,在学証明書又は最終学校の卒業証明書(写)を添えて,お申し込み下さい。
※申し込み方法は,直接持ち込み,郵送,Eメールのいずれかとします。
※郵送の場合は,封筒の表に「言語研修○○語申し込み」と朱書き願います。
受講申込書:wordファイル
6. 選考方法当研究所で書類審査により選考します。
7. 選考結果受講の可否は,一次募集応募分については,6月末までに本人あてにEメールにて通知します。二次募集を行った場合は,7月下旬までに本人あてにEメールにて通知します。
8. 受講手続受講を許可された方は,所定の期日までに,研修言語ごとに定められた額の受講料を一括納付して下さい。 受講料は各言語ごとに異なりますので,それぞれのページをご覧ください。
9. 修了証書研修言語ごとに定められている授業時間数の3分の2以上出席し,かつ所定の成績を収めた受講者に修了証書を交付します。
10. そ の 他文化講演として,担当講師以外の外部講師を招いた授業を取り入れています。文化講演は一般向けに公開することがあります。
11. 申込み先東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所2階206室
研究協力課共同研究拠点係
〒183-8534 東京都府中市朝日町3-11-1
TEL 042-330-5603, FAX 042-330-5610
Email ilcaa-ilc[at]tufs.ac.jp [at]を@に置き換えて下さい。


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