2017年度は,ハンガリー語,ジャワ語(東京会場)の講座を開講しました。
1. 研修の概要 詳細
研修期間: 2017年8月17日(木)~2017年8月30日(水) 午前9時00分 ~ 午後5時15分 (土日は休講 ただし8月26日(土)のみ文化講演を実施) 研修時間: 70時間 研修会場: 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所 本研修は2017年8月17日(木)から2017年8月30日(水)までの11日間,1日あたり6または7時間(前半3時間,後半3時間または4時間),合計70時間実施した。
会場は,東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所マルチメディアセミナー室(306)を利用した。
2. 講師 詳細
- 主任講師:
- 大島一(おおしま はじめ)東京外国語大学非常勤講師 / 同アジア・アフリカ言語文化研究所ジュニア・フェロー
- 講師:
- 秋山晋吾(あきやま しんご)一橋大学大学院社会学研究科教授
- ネイティブ講師:
- BILIK Éva(ビリック エヴァ)東京外国語大学等非常勤講師
- 文化講演者:
- 神谷孝,神谷潤子(ハンガリー舞踊研究家)
3. 教材 詳細
- 『ハンガリー語の会話と文法Hungarian Conversation and Grammar』(大島 一,ビリック・エヴァ)
テキストは,主任講師による,これまでのハンガリー語教授の場で使った教材を元に作成されたもので,全20課からなり,(1)会話・読み物,(2)単語リスト,(3)文法解説,(4)練習問題を含む。練習問題の量は各課ともあまり多くないが,それらを元にネイティブ講師との会話練習に拡大展開させた。各課の単語リストは(1)会話・読み物に出た単語約1000語を収録している。
4. 受講生詳細 詳細
受講生は本学学部生4名,他大学学部生1名,他大学院生1名,一般社会人3名の,計9名であった(うち,男性6名,女性3名)。皆それぞれにこれまでハンガリーとの関わりからハンガリー語に興味を持ち,卒業論文等執筆や関わる仕事の上で,ハンガリー語文献を読めるようにしたいという強い動機を持っていたため,出席状況も良好であった。最終的には,他研究機関における調査実習参加で来られなくなった1名を除いた,8名が修了した。
5. 文化講演 詳細
8月26日(土):「ハンガリーの民族舞踊」
題ハンガリーの民族舞踊について,前半午前は神谷孝氏による講演・説明が行われ,そのあと皆で簡単な輪踊りを踊った。後半午後は本格的に民族舞踊の実習を体験した。初めにチャールダーシュの簡単なステップから,その後は男女のカップルダンスなど,また,チャパーシュといわれる足を叩く踊りが特徴ある男性のソロのダンスなどを学び,踊り明かした。まさに全身でもってハンガリーの民族舞踊を体験した受講生たちは,疲れはしながらも,爽快感と達成感に満ちあふれていた。
6. 授業 詳細
5日目に歴史研究家の秋山講師による授業では,ハンガリーの歴史についての読み物,すなわち,過去形が豊富に出てくるものを読むという設定目標を立てていたため,それまでの4日間で,過去形までの基礎文法(複数形,対格形,動詞現在形(不定・定活用),場所の格接尾辞,所有形)を学び終えた。授業では,主に午前中に文法の説明を行い,午後はテキストの読み物を読んだり,練習問題やその発展の会話練習を実施した。6日目以降は命令形,仮定形と進み,ひととおり,最低限の文法を学び終えた。なお,各日の最後にはネイティブ講師との自由会話テスト(その日に学んだ文法事項を使った会話)と,簡単な筆記テストを行った。
最終週の3日間は,使役形や関係代名詞など難しい文法事項を学び,新聞記事(難民問題に関するもの)や詩を読むことで習得語彙の拡充を図った。最終日は各自のテーマでハンガリー語によるプレゼンテーションを行った。受講生全員,熱心に取り組んだ結果の発表は大変興味深いものであったし,かつ,彼らもハンガリー語で発表したことで大きな自信に繋がったことと思う。
7. 研修の成果と課題 詳細
比較的短い時間ではあったが,何人かはすでに各所でハンガリー語講座を受講した経験もあり,「ハンガリー語」ということがまったくゼロからスタートするような受講生がいなかったことで,大変スムーズに授業が進んだ。反面,「話す」といったことに関しては,受講生たちは当初は難しく感じたようだが,各日最後のネイティブ講師との会話テストのおかげでかなり慣れた感じが出てきたようであった。その結実である最終日のハンガリー語プレゼンテーションは研修の一番の成果といって良いだろう。
研修中は,文化講演の民族舞踊ももちろん,他にもハンガリー・トランプをやってみたり,民謡を歌ったりと,さまざまなアクティビティを実施・体験した。ハンガリー語のみならず,幅広くハンガリー文化に触れることができ,こちらも語学習得と同じくらいに大切な成果であると言えよう。
8. おわりに 詳細
なんといっても,真面目に授業に来て学んだ受講生たちにお礼を申し上げたい。1名は他用事で時間数が足らず修了はできなかったが,修了者と劣ることなく大変真面目な受講生であり,9名全員が修了できたと言いたいところである。そして,本格的に民族舞踊を教えてくださった神谷ご夫妻に感謝すること大である。この催しのおかげで,受講生たちはハンガリーのことをますます好きになったことであろう。そして,ネイティブ講師のビリック先生と秋山先生には期間中はもちろんのこと,実施計画の段階から大変お世話になった。この場を借りてお礼申し上げます。最後に,AA研の各先生方および事務の皆さまにも深く感謝いたします。ありがとうございました。
1. 研修の概要 詳細
- ○研修期間:
- 2017年8月1日(火)~2017年8月25日(金)
- 午前9時00分 ~ 午後5時00分 (土日および8月11日~16日は休講)
- ○研修時間:
- 102時間
- ○研修会場:
- 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所
本研修は2017年8月1日(火)から2017年8月25日(金)までの15日間,1日あたり7時間(前半4時間,後半3時間),合計102時間実施した。
会場は,東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所マルチメディア会議室(304)を利用した。
2. 講師 詳細
- ○主任講師:
- 菅原由美(すがはら ゆみ)大阪大学大学院言語文化研究科 准教授
- ○ネイティブ講師:
- RAHAYU, Yosephin Apriastuti(ラハユ,ヨセフィン アプリアストゥティ)東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所外国人研究員/ Lecturer, Wisma Bahasa, Yogyakarta
- 文化講演者:
- 青山亨(東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授)
- 菅原由美(大阪大学大学院言語文化研究科准教授)
- 宮崎恒二(東京外国語大学名誉教授/同アジア・アフリカ言語文化研究所フェロー)
3. 教材 詳細
- 『An introduction to Javanesev.1 grammar and reading』(菅原由美,Yosephin Apriastuti RAHAYU)
- 『An introduction to Javanesev.2 wordlists』(菅原由美,Yosephin Apriastuti RAHAYU)
v.1 はジャワ語文法解説に重点をおいた教材である。ジャワ語のスピーチレベルの説明をした後に,ンゴコ体(平常体)とクロモ体(尊敬体)の文を並置し,二つのスピーチレベルを同時に覚えてもらい,会話の相手に合わせて,レベルを変化させる訓練ができるように工夫した。ンゴコ体とクロモ体の変化系(ンゴコ・アルス,クロモ・マディヨ),上級敬語(クロモ・アルス)も適宜書き加えた。また,インドネシア語訳も記載し,インドネシア語との比較ができるように工夫した。v.2はv.1でスピーチレベルの使い分けが容易にできるように,2または3つのレベルを単語レベルで並置したリストを作成した。
4. 受講生詳細 詳細
受講生は12名。学部学生,大学院生,社会人,高齢者など様々な受講者が参加した。全員出席率はよく,12名中,11名が修了した。残りの1名は個人的な事情により,出席日数が不足したため,修了できなかったが,独自にテキストを使って,予習・復習をしていたため,最終的には非常に優秀な成績であった。
5. 文化講演 詳細
- 青山亨 8月4日(公開)「ジャワ語文学の歴史の概要」
- 古ジャワ語,現代ジャワ語文学の歴史についての講演。ジャワ語が9~15世紀の古ジャワ語と16世紀以降の現代ジャワ語に分かれる。古ジャワ語時代から文学が存在し,東南アジアで最も古く,厚い文学伝統をもつ。そのジャワ文学の主要なものについて,解説を行なった。多くの質問が出された。
- 菅原由美 8月18日「ジャワとイスラーム」(非公開)
- ジャワとイスラームの関わりの歴史について講義を行った。イスラームの流入から,マタラムとイスラームの関係,19世紀オランダ統治下におけるイスラーム,20世紀スハルト体制下のイスラームの様相について説明を行った。多くの質問が出された。
- 宮崎恒二8月22日「ジャワの暦と占い」(公開)
- ジャワの35日暦についての説明とその暦から生まれる運勢占いについての講演であった。また,そうした暦の生成と関わる神話についても解説があった。受講者は占いに大きな関心を寄せた。
6. 授業 詳細
8月1日〜8月18日まで文法解説及び文法問題練習をおこなっていた。8月21日〜22日は会話の練習をおこなった。自己紹介,買い物,知人の家への訪問などの場面において使われるジャワ語会話の練習をおこなった。自分に関する紹介文(10分程度)を宿題として作ってきてもらっていたので,23日に,それらを添削して返却し,各自に発表してもらい,読解と質疑応答を行った。24日は,午前にジャワ文字の練習をおこなった。午後にジャワ語文章読解として,まずは散文(ンゴコ体とクロモ体)の文章の読解に挑戦してもらった。25日は韻文読解として,まずジャワの韻文の種類について歴史を追って,説明し,韻文の一部を,辞書を引き,翻訳する練習をおこなった。最後に,それらの韻文の読誦の仕方をラハユ先生が実践して見せてくれた。
7. 研修の成果と課題 詳細
本研修は,ジャワ語の基礎文法習得を第一の目的とし,文法解説・練習の後に,いくつかの文章を読み,ジャワ語の辞書を引き,自分で読解を始めることができるようになるところまで導くことを最終到達点としていた。受講者は概ね,文法を理解し,スピーチレベルによる使い分けを理解し,辞書の使い方を覚えてくれたため,目標は達成できたように思う。まだ間違いも多く,使用できる語彙数に限りはあるが,受講生の学習意欲が非常に高かったので,予定通り,授業を進め,用意していた教材を全て終わらせることができた。
ジャワ語の教科書は,これまで日本においても,海外においても,十分なものが作られていないため,ネイティブの先生と議論をしながら,書いたが,まだよくわからないところも多々あった。そのことについては,受講者にも説明をした。
8. おわりに 詳細
インドネシア語がわかる人に,インドネシア語とジャワ語の比較をしてもらうために,テキストに,ジャワ語の文の横にインドネシア語文を書き添えた。また,日本人講師とネイティブ講師との会話はインドネシア語で行なっていた。そのため研修を終えた後に,受講者から,今回,ジャワ語とインドネシア語を一緒に勉強することができたと言われたのは,予想外のことであった。
この研修はアジア・アフリカ地域での現地調査・研究や専門的業務に役立つ現地語の習得を目指す短期集中型語学研修です。
日本の専門研究者と母語話者とが一緒に教授にあたる生きた言語教育である点が特徴です。
今年度は,ハンガリー語,ジャワ語の言語研修を実施しますので,受講希望者は下記によりお申込みください。
1. 募集言語 | ハンガリー語,ジャワ語 |
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2. 募集人員 | 各言語 約10名 |
3. 募集期間 | 2017年5月1日(月)~ 2017年5月25日(木) 受付時間 午前9時30分~午後5時(正午~午後1時を除く) 持込みの場合,土・日・祝日を除きます。 郵送の場合は,5月25日(木)必着です。 Eメールの場合は, 5月25日(木)日本時間午後5時必着です。 平成29年度夏期言語研修の募集は終了しました。 第二次募集期間:2017年6月1日(木)~ 2017年6月26日(月) 受付時間 午前9時30分~午後5時(正午~午後1時を除く) 持込みの場合,土・日・祝日を除きます。 郵送の場合は,6月26日(月)必着です。 Eメールの場合は, 6月26日(月)日本時間午後5時必着です。 |
4. 応募資格 | 大学在学生,大学卒業者または上記の目的に必要な学力及び動機をお持ちの方であれば,ご応募いただけます。 |
5. 応募方法 | 所定の受講申込書に必要事項をご記入の上,在学証明書又は最終学校の卒業証明書(写)を添えて,お申し込み下さい。 ※申し込み方法は,直接持ち込み,郵送,Eメールのいずれかとします。 ※郵送の場合は,封筒の表に「言語研修○○語申し込み」と朱書き願います。 受講申込書:wordファイル |
6. 選考方法 | 当研究所で書類審査により選考します。 |
7. 選考結果 | 受講の可否は,一次募集応募分については,6月末までに本人あてにEメールにて通知します。二次募集を行った場合は,7月下旬までに本人あてにEメールにて通知します。 |
8. 受講手続 | 受講を許可された方は,所定の期日までに,研修言語ごとに定められた額の受講料を一括納付して下さい。 受講料は各言語ごとに異なりますので,それぞれのページをご覧ください。 |
9. 修了証書 | 研修言語ごとに定められている授業時間数の3分の2以上出席し,かつ所定の成績を収めた受講者に修了証書を交付します。 |
10. そ の 他 | 文化講演として,担当講師以外の外部講師を招いた授業を取り入れています。文化講演は一般向けに公開することがあります。 |
11. 申込み先 | 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所2階206室 研究協力課共同研究拠点係 〒183-8534 東京都府中市朝日町3-11-1 TEL 042-330-5603, FAX 042-330-5610 Email ilcaa-ilc[at]tufs.ac.jp [at]を@に置き換えて下さい。 |
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