東京外国語大学の研究者,日本初の東アルメニア語の教科書を執筆
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所のジュニア・フェローである吉村貴之氏は,日本で初めて東アルメニア語の教科書を執筆した。『東アルメニア語』と題した教科書は,アルメニア語やアルメニア人社会に関心を持つ日本人のために,すべて日本語で解説が書かれている。
吉村氏が本紙に語ったところでは,東アルメニア語の教科書と違い,西アルメニア語や古典アルメニア語の語学書はすでに日本でも出版されている。(それぞれ,佐藤信夫氏,千種眞一氏によるもの。)吉村氏自身は,すでに『アルメニア近現代史』(東洋書店)というアルメニアに関する概説書を著している。
吉村氏はアジア・アフリカ言語文化研究所でアルメニア史の研究を行っている。2001年から2003年まで国立エレヴァン大学でアルメニア語の研鑚を積み,その前後にも何度かアルメニアに研究滞在している。
今年の8月5日から9月4日まで,アジア・アフリカ言語文化研究所で初めてアルメニア語の言語研修が開催され,吉村氏が講師を務めている。この言語研修では,日本在住のアルメニア人たちも講師として講義をサポートする。受講者にアルメニア語の基礎を指導するだけでなく,歴史に加え,アルメニア人によるアルメニア文化についての内容の講演も行われる予定であるという。(注:取材は8月12日にウェブ上で行われたため,取材時には言語研修で開催される文化講演はまだ1度しか行われていなかった。)
「言語研修は,関心があるすべての方に開かれています。特に,アルメニア語の研修には12名もの方が参加されました。この参加者数は言語研修の中では多い方だとのことです。もちろん,全員日本人です。他の言語を専攻する学生や,言語学者,趣味で外国語を学んでいる方などが受講しています」と吉村氏は語った。
アジア・アフリカ言語文化研究所の言語研修は,毎年2,3の言語を取り上げながら,すでに46年間も開催されている。今年は,アルメニア語以外にウズベク語やハウサ語というアフリカの言語の講義が行われているという。
取材:ソナ・アヴァギアン
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