本研究所は,アジア・アフリカの言語文化に関する総合的研究を目的とする全国共同利用研究所として1964(昭和39)年に設置されました。それ以来46年間,国内外の研究者との共同研究の展開,海外学術調査の実施と総括,研究資料の蓄積と公開,言語研修など研修事業を通じた若手研究者養成への寄与,辞典編纂などを通じて,日本のアジア・アフリカ研究をリードし,その発展と深化に大きな役割を果たしてきました。2010年度からはそれまでの成果を継承・発展させるべく,本研究所は新たに発足した「共同利用・共同研究拠点」制度の下で,より一層国内外に開かれた「アジア・アフリカの言語文化に関する国際的研究拠点」として新たなスタートを切りました。
さて,アジア・アフリカは広大で,多様性に富み,あらゆる点で奥の深い地域です。その中には近年著しい発展を遂げ,政治的・経済的に発言力を増大させている国や地域がある一方で,紛争と貧困から脱却できずにいる地域もありますが。このアジア・アフリカに地球人口の70%を超す人々(約48億人)が暮らしていることを考えれば,その動向が日本のみならず地球社会の未来を大きく左右することになるといっても過言ではないでしょう。このような重要性をもつアジア・アフリカを根本から理解するためには,本研究所が創立以来とり組んできたような,アジア・アフリカの言語文化の深層に食い込んだ研究をさらに発展させることが求められます。
とはいえ,広大かつ多様で,奥の深いアジア・アフリカを研究するためには,本研究所のスタッフだけでカバーしきれるものではありません。研究所の枠,さらには本研究所が附置されている国立大学法人東京外国語大学の枠を越えて,国内外の広範な研究者コミュニティからの協力を得ることが必要不可欠です。それと同時に,研究者コミュニティの要望を反映させながら,研究所として重視する領域を明確にするために2010年度から開始した四つの基幹研究―「言語ダイナミクス科学研究」,「人類学におけるミクロ‐マクロ系の連関」,「中東・イスラーム圏における人間移動と多元的社会編成」,「アフリカ文化研究に基づく多元的世界像の探究」―も,より一層の研究の進展が必要です。今後とも,本研究所は国内外の研究者コミュニティとの連携強化・拡大を進め,「アジア・アフリカの言語文化に関する国際的研究拠点」の名にふさわしい活動をする所存です。皆様のより一層のご指導・ご支援をお願い申し上げます。
2011年6月15日
アジア・アフリカ言語文化研究所所長
栗原 浩英
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