准教授,博士(文学)
東京外国語大学
アジア・アフリカ言語文化研究所
〒183-8534 東京都府中市朝日町 3-11-1
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研究テーマ:ジンポー語,チベット・ビルマ諸語,ミャンマーの言語
私はミャンマー北部においてフィールドワークを行い,主に同地域の少数民族カチン人の言語の1つであるジンポー語を対象に研究を進めています。この言語は,言語的に多様なカチン人の間で共通語としても通用しており,カチンの人々を結びつける1つの重要な紐帯の役割を果たしています。ジンポー語に見られる言語特徴が多様性と普遍性の観点から世界や東南アジア地域の言語の中でどのように位置づけられるかに関心を持ちながら,ジンポー語の音声と文法,ジンポー語の系統,ジンポー語と他のカチン諸語の言語接触などの研究を進めています。
同時に,急速に失われつつあるカチンの伝統文化のドキュメンテーションにも取り組んでいます。一例として,昔話,伝説,神話,歴史,民謡,諺,風習,信仰などカチンの口頭伝承を蒐集し,2017年に1,805話の資料をデジタルアーカイブPacific and Regional Archive for Digital Sources in Endangered Cultures (PARADISEC) に登録・公開しました。
(1) タンサル語の調査。タンサル語はカチン人の話す言語の1つですが,ジンポー語とは系統的に遠い言語です。これまでこの言語に関する先行研究はほとんどありませんでした。2018年からこの言語を対象としたフィールドワークに基づく言語調査を開始しました。
(2) 東南アジア諸語の地域語彙。東南アジアでは言語系統を超えて類似した構造を持つ表現や語彙があります。例えば,「日月食」はジンポー語では「蛙が日を呑む」,ラフ語では「虎が日を食べる」,ヤイ語では「ムササビが月を食べる」,セダン語では「百足が日を食べる」,カチョ語では「鯰が月を呑む」です。同様の地域特徴の調査を進めています。
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