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今月の一枚 2010年6月:吉兆

2010.06.01

こちらにはひと月に一度,AA研スタッフや共同研究員がフィールド調査の際に撮った写真を載せています。
(写真の著作権は撮影者にあります。無断・無許可でのご使用は固くお断りします。)

一昨年のカンボジア調査で,アンコール遺跡への入口であるシェムリアップ市から遠く離れた2つのクメール遺跡にヘリコプターで飛ぶという計画が持ち上がった。他のメンバーと異なり,最初私はあまり乗り気ではなかった。単に「空に浮かぶものは全て落ちる可能性を有する」という理由からである。つまり,少しばかり臆病だということだ。

漠然とした不安を抱きつつ,搭乗予定のヘリコプターの方に目をやると,向こうの空に虹がかかっているのに気付いた。早速1枚。カメラを縦に構えて2枚。ついでにフィルムカメラでもう2枚。

ひとしきり撮り終えた時には,もう不安は消えていた。たぶん大丈夫だろう,何か根拠があってのことではないのだけれど….。移動はほぼ問題なく行われ,車に乗った場合と比べて1日半ほど時間短縮できた。上空からシェムリアップ州とコンポントム州の地形を俯瞰できるというおまけも付いた。

全ての人々が虹を吉兆とみなすわけではないけれど,今こうして写真のキャプションを書いていられるのだから,私にとってはこの虹は吉兆だったのだろう。言わば,信じたもの勝ち,である。

カンボジア,シェムリアップのヘリポートにて
2008年11月19日
澤田英夫 撮影