Training研修・セミナー

研修・セミナー

AA研では,研究者養成のための研修事業の一環として,特に大学院生・ポスドクなどの若手研究者に向けたフィールド言語学に関するさまざまなワークショップを行っています。

これらのワークショップは,特に研究の進んでいない言語のドキュメンテーションと記述に関するもので,日本の大学では通常,授業として行われていないものです。そのような研究者養成の一端を担うことは,本研究所の重要な役割のひとつでもあります。

関連イベント情報

フィールド言語学ワークショップ

AA研では,研究者養成のための研修事業の一環として,特に大学院生・ポスドクなどの若手研究者に向けたフィールド言語学に関するさまざまなワークショップを行っています。

AA研では,1967年に言語研修事業を開始して以降,アジア・アフリカ地域のさまざまな言語を対象にした研修を開講してきました。
修了者の中からは,各大学,研究機関へと就職し,アジア・アフリカ地域の専門家としての道を歩んでいく方々を輩出しています。

ほとんどのフィールド言語学ワークショップでは,参加者がそれぞれ自分がフィールド調査を通して得た言語データを持参することが求められます。ワークショップの講師が助言するばかりではなく,参加者同士がさまざまな経験を共有することによって,お互いからも学ぶ場となっています。

フィールド言語学ワークショップには,大きく分けて以下の3つのシリーズがあります。
・Documentary Linguistics Workshop
 毎年実施される5日間に亘る短期集中ワークショップと,それに関連するワークショップです。
 言語ドキュメンテーションに関するさまざまなテーマを扱います(2016年をもって終了)。
・文法研究ワークショップ
 フィールド調査で得る言語データに現われる,さまざまな文法事象に関するワークショップのシリーズです。
・テクニカル・ワークショップ
 フィールドで得た言語データの管理や加工に関する技術的なワークショップのシリーズです。

文法研究ワークショップ

フィールド調査で得る言語データに現われる,さまざまな文法事象に関するワークショップのシリーズです。

文法研究ワークショップは,フィールド調査で得られる生の言語データに基づいた文法現象の分析,文法の記述,通言語的比較・対照をする上での諸問題に焦点を当てて企画されるものです。
人文系の研究には情報や知見を交換する研究交流の場は研究を発展させていく上で非常に重要なものですが,それは成長過程にある若い研究者にとってはなおさらです。このワークショップシリーズでは,地域的にも,構造的にも多様な言語を実地に調査する研究者が集まり,大学や地域の枠を遙かに越えた交流の機会を提供しています。

テクニカル・ワークショップ

テクニカル・ワークショップでは,フィールド調査を通して得られた言語データの管理・整備・加工・変換や,フィールド調査の技法について扱います。

言語データの管理はフィールド言語学において極めて重要です。特に,記述の進んでいない言語や少数の話者によってのみ話されている言語のデータは, その価値が高いと言えるでしょう。そのようなデータはきちんと整備し管理する必要があります。例えば,アナログの音声・映像データや紙媒体のものをデジタル化し,それぞれのデジタルファイルにメタデータ,タグ,あるいは注釈・アノテーションをつけること,そして,デジタル形式のデータはユニコードフォント に変換することなどがあげられます。

テクニカル・ワークショップでは,これまで次のようなソフトウェアやデータタイプ,データ処理の方法を紹介してきました。

  • Toolbox / Shoebox(SILによるデータ管理ソフト)
  • ELAN (音声・映像データに注釈等を加えるためのソフト)
  • テキストエディタ
  • ユニコードフォント
  • インプットメソッド(特殊文字の入力方法,AAA+の導入とカスタマイズ)
  • 正規表現(高度な検索)
  • grep(複数ファイルの串刺し検索)
  • メタデータ(フィールドで得られた様々な情報)の整理方法
  • MS Excel を利用したデータの整理
  • Perl (スクリプトによる文字列データの処理) など

今後は,「テクニック」の範囲をより広く捉え,フィールド調査そのものの技術やノウハウについても扱っていきます。

中東・イスラーム関連セミナー

中東もしくはイスラーム世界に知的・学問的関心を持ち,調査・研究を進めている大学院生や若手研究者を対象に,この研究領域に関する最新の学問的情報を提供して知識の幅を広げ,問題意識にあふれた研究発表を通して研究会などにおけるプレゼンテーションやディスカッションの能力を高めることを目的としています。

中東・イスラーム研究/教育セミナー

本セミナーは,2005(平成17)年度から始まった中東イスラーム研究教育プロジェクトの一環として,AA研が推進している研修事業です。

教育セミナー

大学院生を対象に,AA研スタッフと招へい講師による講義,受講生のうち希望者による研究発表から構成されています。中東やイスラームについて専攻する大学院生はもとより,専門分野の基礎はできているが中東やイスラームを専攻としない院生も受け入れ,基礎的な知識や研究手法の情報提供,受講者の間の討論を通した交流の場を作っています。

研究セミナー

それよりも高度なレベルの研究者,すなわち大学院博士課程後期(博士課程)および博士論文の準備をしている方々を対象にしています。講義は行わず,長時間の研究発表と徹底した討論の機会を提供します。博士論文構想のヒントを得たり,異なる研究分野・地域の研究者との意見交換から知識を拡充したりすることが期待されます。
年1回の「教育セミナー」とは異なり,少人数で行われる「研究セミナー」は年に2回開催されます。

なお本事業は,2006(平成18)年度から,東京外国語大学大学院,および同大学院と単位互換協定を結んでいる大学院に所属している学生には,単位履修申請科目となっています。
本事業のより詳しい説明や受講生のセミナーに対する感想・評価に関しては,下記をご覧ください。

中東☆イスラーム教育セミナー(基幹研究『記憶』のフィールド・アーカイビング)
中東☆イスラーム研究セミナー(基幹研究『記憶』のフィールド・アーカイビング)

オスマン文書セミナー

オスマン朝の文書・帳簿を古文書学・アーカイブズ学的視点から学ぶ演習形式のセミナーです。年に1回,2日間にわたって開催しています。
内容の詳細は,下記をご覧ください。

オスマン文書セミナー(基幹研究『記憶』のフィールド・アーカイビング)

ベイルート若手研究者報告会

中東・イスラーム研究セミナー,教育セミナーと同じく,2005(平成17)年度から始まった中東イスラーム研究教育プロジェクトの一環として,AA研が推進している事業です。国籍を問わず,日本において中東に関連する人文・社会科学(地域研究・歴史学・人類学・イスラーム学など)を専攻している若手研究者の最新の研究成果を,レバノンをはじめとする中東の研究者たちに広く知っていただくとともに,専門家同士の密度の濃い議論の場を提供することを目的としています。

公募によって選考され,中東現地に派遣される若手研究者は,英語による30分間の研究報告を行い,その後15分間,開催地や近隣の中東諸国あるいは欧米から招へいしたコメンテータを含む参加者との間で質疑応答を行います。本報告会は,2006(平成18)年度はイスタンブルのボアジチ大学,2007(平成19)年度はベイルートのクラウン・プラザ・ホテルで開催しました が,2008(平成20)年度からはレバノン共和国ベイルートにおける研究拠点「中東研究日本センター」を会場とし,「日本における中東研究の最前線 Middle Eastern Studies in Japan: the State of the Art」というタイトルのもとに開催しています。

なお,これまでに本報告会に参加した若手研究者の報告内容と質疑応答の概要,感想などについては,下記をご覧ください。

ベイルート若手研究者報告会(基幹研究『記憶』のフィールド・アーカイビング)

文化/社会人類学セミナー

AA研の基幹研究における人類学系若手研究者育成事業として,実施しています。

2011年度より開催してきた本セミナーでは,博士論文や投稿論文を執筆中の文化人類学/社会人類学/生態人類学を専門とする大学院生や若手研究者が研究発表し,発表草稿を博士論文や投稿論文に練り上げるための学術的議論の場を提供しています。2015年度からは日本文化人類学会(次世代育成セミナー)との共催となりました。

発表者ごとに論文の査読に匹敵するようなかたちで内容にふさわしいコメンテーターがつき,最新の学術的議論に関する情報提供を行っています。またセミナー参加者が同じ世代の若手研究者の発表を聞いて異なる観点から意見を交わすことで,知識の幅を広げることも目的としています。本セミナーによって所属をこえた研究者間の交流が促進され,若手研究者の研究活性化につながることを期待しています。

文化/社会人類学セミナー(基幹研究)社会性の人類学的探究