飯塚 正人いいずか まさと

- 職位, 学位
- 教授
- 研究キーワード
- 近現代イスラーム; 中東・北アフリカの政治
- masato[at]aa.tufs.ac.jp
中東政治、特に近現代におけるイスラーム政治思想と政治運動の研究をしています
とくに関心を持っているのが、19世紀以来多くのムスリム知識人が論じ、発展させてきた「イスラーム民主主義」思想です。イスラームでは神が唯一の主権者、立法者とされ、人間の主権は認められていません。人間にできることは神の命令であるイスラーム法を解釈・施行することだけで、これが一部のイスラーム主義者が民主主義に反対し、今日なおサウディアラビアが立法府を持たない理由になっています。とはいえ、実を言うとこれは一種の言葉のいたずらに過ぎません。実のところ、イスラーム法は外交、軍事から行政に至るまで政治に関係する多くの問題について、ほとんど何も定めておらず、サウディアラビアを除くと、こうした問題は国会という形で、人間の自由裁量に任せてよいという考え方が支配的なのです。
けれども、現在の中東諸国の政治は多かれ少なかれ独裁、権威主義体制で、多くのイスラーム主義者はこれをムスリム社会に広範に見られる停滞傾向の原因と見て非難しています。彼らは事実上、議会制を支持し、「イスラーム民主主義」を求めているのです。こうした状況のなか、中東政治とイスラーム政治思想に今後何が起きるのか、興味は尽きません。