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今月の一枚 2018年11月:アッカの城壁の落書き

2018.11.01

こちらにはひと月に一度,AA研スタッフや共同研究員がフィールド調査の際に撮った写真を載せています。
(写真の著作権は撮影者にあります。無断・無許可でのご使用は固くお断りします。)

イスラエル北部の港町アッカ。地中海に面した旧市街の城壁に,アラビア語で書かれた落書きを見つけた ――「アッカは僕の故郷」。

古くから東地中海交易の拠点として栄えたアッカには,イスラエル建国後もこの地に残ったアラブ・パレスチナ住民が暮らす。旧市街の店先からはアラブ音楽が流れ,夏の日には城壁から海に飛び込む若者の姿が見られる。一方で,政府の進める観光開発に伴う同地区の高級化のあおりも強く受ける。パレスチナ人住居は取り残され,転居を余儀なくされる家族もいる。別の路地には,「アッカは売り物ではない」の落書きがあった。

分離壁の向こうの占領地に暮らすパレスチナ人たちが,見たいと願ってやまないアッカもまた,この地に根付いた生活を守る切実さを抱えていた。

2016年7月5日
撮影地:イスラエル/パレスチナ,アッカ
南部 真喜子 撮影