今月の一枚 2026年7月:看板工房の朝食
2026.07.01
こちらにはひと月に一度,AA研スタッフや共同研究員がフィールド調査の際に撮った写真を載せています。
(写真の著作権は撮影者にあります。無断・無許可でのご使用は固くお断りします。)

朝、トロトロに乗って看板工房へと出勤する。トロトロとは、市街を猛スピードで走るミニバス(乗合タクシー)だ。中古のワンボックスカーやバンの空調は壊れているため、窓は全開。砂埃も排気ガスも、朝の強い日差しも満員の熱気も、すべてを車内に巻き込みながら疾走する。
スアメ環状交差点の手前で下車し、自動車整備工場や部品屋を通り過ぎて工房へと滑り込む。誰かが出勤して倉庫の鍵を開けると私も手伝い、椅子やイーゼル、制作途中のキャンバス、画材一式、そして工房に飾る看板絵を順番に所定の場所へ設置していく。
開店準備が整うと、お待ちかねの朝食の調達だ。すり潰した唐辛子を添えた卵ご飯か、あるいは「ガ・ケンケ(発酵させたトウモロコシの主食)」に「シトー(黒い辛味調味料)」と魚の丸揚げを合わせたものが定番のメニューだ。
埃や油で汚れた手を洗い、右手で熱々のふわふわなガ・ケンケを火傷しそうになりながらほぐす。魚の出汁が効いた旨味のあるシトーと、唐辛子、玉ねぎをよく混ぜ合わせて口に運ぶ。丸ごと揚げられた魚は頭や尻尾がカリカリで、パリパリの皮とほっくりとした白身を食べると、唐辛子の強い辛味がふっと和らぐ。骨や頭を工房の猫たちにお裾分けしながら、仲間たちと仕事前の豊かな朝食時間を過ごす。
2024年11月26日
ガーナ共和国アシャンティ州クマシ市スアメ地区
森昭子