研究仲間:

青木俊介

(あおきしゅんすけ)

清泉女子大学

 

主要業績:青木俊介「候官における簿籍の保存と廃棄」(佐藤信・籾山明編『文献と遺物の境界』六一書房、2011年12月)/同「秦代における県の守官任職者について―遷陵県の官吏異動状況から―」(『東洋史研究』第78巻第4号、2020年3月)

ひとこと:秦漢時代の地方行政制度に焦点をあてた研究をしています。資料の文字情報だけでなく、文字が記されたモノ(簡牘)の移動をも考慮し、また、それを扱った古代人たちの活動の復元を目指しています。

安部聡一郎

(あべそういちろう)

 

 

飯田祥子

(いいださちこ)

公益財団法人古代学協会・中国古代史

 

主要業績:飯田祥子「長沙五一広場東漢簡牘郡太守府発信文書訳注稿」(『龍谷大学論集』490、2017年)/同「劉秀の列侯―初期後漢王朝の人的構成―」(『日本秦漢史研究』20、2019年)

ひとこと:同じようにみえる簡牘史料群でも、時代や出土地により、内容・性格が大きく異なる。これは当然のことですが、秦の遷陵県のものと、後漢の臨湘県のものを読みくらべることで改めて実感しています(HP五一広場東漢簡牘研究会https://goitinokai.jimdofree.com/

石原遼平

(いしはらりょうへい)

東京外国語大学

 

片野竜太郎

(かたのりゅうたろう)

東洋文庫

 

 

陶安あんど

(すえやすあんど)

明治大学・法学部・中国法制史

 

主要業績:陶安あんど『秦漢刑罰体系の研究』(創文社、2009年)/陳松長・朱漢民主編、陶安著『嶽麓書院蔵秦簡(参)』(上海辞書出版社、2013年)/陶安『嶽麓秦簡復原研究』(上海古籍出版社、2016年)/陶安『嶽麓秦簡《爲獄等狀四種》釋文注釋(修訂本)』(上海辞書出版社、2021年)

ひとこと:史料の校讐は人間知能の限界をつくづくと感じさせる。誤字を訂正するつもりでも、気づいてみると、新たな間違いを犯している。ところが、世間では、宗教や政治の指導者が振りかざす単純な真実に人々は魅了されている。讖緯の力で儒教が浸透し王莽のようなポピュリストが売り手市場の前漢末もこうした迷信深い社会への移行期だったのだろうか。とすれば、今後の国際秩序を占うには後漢の歴史が案外参考になるのかもしれない。

鈴木直美

(すずきなおみ)

明治大学・文学部・歴史学

 

主要業績:鈴木直美『中国古代家族史研究─秦律・漢律にみる家族形態と家族観─』(刀水書房、2012年)/同「前漢後期から魏晋にいたる随葬衣物疏簡の展開」(髙村武幸等編『周縁領域からみた秦漢帝国』(六一書房、2019年)/同「秦簡にみえる働く少年・少女 ─世帯内部の多様性と社会的流動性理解への一助として─」(『法史学研究会会報』21号、2018年)

ひとこと:中国古代の墓葬に副葬された、副葬品や供え物のリストを研究しています。木簡・竹簡に書かれたリストには、編集の痕跡が残され、それは葬礼の進行過程を反映しています。この研究を通じ、当時の葬礼の形がみえてくればと思います。

角谷常子

(すみやつねこ)

奈良大学・文学部

 

 

松島隆真

(まつしまたつま)

京都大学

 

 

目黒杏子

(めぐろきょうこ)

京都府立大学・文学部

 

主要業績:目黒杏子「秦代県下の「廟」―里耶秦簡と岳麓書院蔵秦簡「秦律令」にみえる諸廟の考察―」(髙村武幸編『周縁領域からみた秦漢帝国』、六一書房、2017年)/同「漢の高祖の「斬蛇剣」―その歴史的展開について―」(『東洋史研究』77―1、2018年)

ひとこと:秦漢時代の国家祭祀と儀礼の研究をしています。これまで典籍史料を中心に制度や理念を考えてきましたが、祭祀や儀礼の規定も律令のかたちで記録され、行政文書を通じて行われるものであることから、文書のあり方そのものを理解しておく必要性を感じています。

籾山明

(もみやまあきら)

東洋文庫・歴史学

 

主要業績:『中国古代訴訟制度の研究』(京都大学学術出版会、2006年);

ひとこと:ここ数年は、古文書学・史料論といった分野に関心をもっています。歴史学の基礎となる研究分野でありながら(否、それゆえに)、さまざまな関連諸分野と水脈がつながっている点に魅力を感じます。

鷲尾祐子

(わしおゆうこ)

立命館大学・文学部

 

主要業績:鷲尾祐子『中国古代の専制国家と民間社会—家族・風俗・公私』(立命館東洋史学会、2009年)/同『資料集:三世紀の長沙における吏民の世帯─走馬楼呉簡吏民簿の戸の復原─』、東京外国語大学アジアアフリカ研究所電子出版物>https://publication.aa-ken.jp/ChangshaRegister.pdf、2017年/同「走馬楼呉簡吏民簿の編製過程について」(伊藤敏雄・關尾史郎編『後漢・魏晋簡牘の世界』汲古書院、2020年)

ひとこと:研究の中心は、中国古代中世の家族と女性です。とくに、湖南省長沙より出土した三国時代の住民家族名簿を、家族の史料として用いるための検討を続けています。当該史料は、典籍には乏しい一般家庭の実態を知り得る貴重なものです。文献にはほとんど残らない女性の諱も、大量に見えます。信憑性に関する疑問も表明されていますが、史料の記載に信憑性のある部分と無い部分とがあるのはあたりまえであり、それを見分けることは、すべての史料に共通する課題であります。呉簡から明らかになることは何かを、究明していきたいと思います。

渡邉英幸

(わたなべひでゆき)

愛知教育大学・教育学部・歴史学

 

主要業績:渡邉英幸『古代〈中華〉観念の形成』(岩波書店、2010年)/同「秦漢交代期における民・夷の帰属と編成」(『歴史研究』第59号、2013年)

ひとこと:これまで主に先秦時代の文字資料を分析して〈中華〉観念や華夷思想の形成過程を研究してきました。最近では秦漢王朝の統合形態や辺境統治のあり方を検討しております。簡牘の形態・機能論や「ライフ・サイクル」についても勉強していきたいと思います。

現在は諸種の都合で参加していないが、嘗て多くのご教示で我々の史料講読を支えてくれた仲間もいる。感謝の気持ちを込めて名を記しておく:大塚博信・佐藤信・下倉渉・髙村武幸・中村威也・廣瀬薫雄・村上陽子(敬称略)。