1. 研修の概要 詳細
研修期間: 2014年3月19日(水)~ 2014年3月30日(日) (うち22日(土),26日(水)は休講) 平日:午後18時00分 ~ 午後21時00分 土日,祝日(21日,23日,29日,30日): 午後13時00分~午後16時00分 研修時間: 30時間 研修会場: 東京外国語大学本郷サテライト3Fセミナールーム 本研修は2014年3月19日(水)から3月30日(日)までの10日間(22日,26日は休講),1日あたり3時間,合計30時間実施した。
会場は,東京外国語大学本郷サテライト3Fセミナールームを利用した。
2. 講師 詳細
- 主任講師兼外国人講師:
- 林虹瑛(日本ホテルスクール講師)
- 講師:
- 三尾裕子(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所長/教授)
3. 教材 詳細
- 『台湾語中級 / Taiwanese for Intermediate Students 』(三尾裕子 監修 林虹瑛 編著)
本教材の文章は主に日本植民地時代に出版された台湾語の教科書や台湾語の読本を基礎に,今日でも使える内容をアレンジして作成しています。当時の台湾の日常会話の様子がわかるものや,逆に日本的な言い回しが使われている様子などが,見てとれます。また,一部は最近の笑い話などを教材に取り上げています。また,課によって,本文と内容的に関連のあるエッセイ(『台風雑記 百年前の台湾風俗』佐倉孫三原著,三尾裕子監修,台湾の自然と文化研究会編訳,東京外国語大学アジアアフリカ言語文化研究所,2009年)を取り上げ,台湾の文化,習慣を紹介します。
4. 受講生詳細 詳細
一般市民3名,大学生及び院生2名,大学教職者5名。其の中に一人の受講生は用事で出席できなくなりました。出席状況及び受講の成果など合わせて,修了証書を渡しました。
5. 授業 詳細
今回の研修は基本的には2012年度の言語研修台湾語入門クラスを履修した人,あるいはそれと同等の基礎を学んだ経験のある人が対象となります。発音や文法の基礎を復習しながら,より高度な会話を身に着けたり,読み物を読みこなしたりする力を養うことを目的とします。シラバスデザインは研修期間(10日間,計30時間)を合わせて,一日一課,計八課の内容を勉強し,最後は筆記試験と口頭発表を全体的な学習成果としてまとめました。初日まず発音の復習から2012年履修生(8名)と新入生(2名)の既習状況を確認します。発音記号や声調交代などの基本練習を介し観察した結果,履修者全員問題なく次へ進められることを確認しました。二日目からは植民地時代第一回戸口調査の内容をアレンジして家族構成,仕事,言語情況などに関する基礎会話の勉強で初級段階に習得した文型を再確認します。二日目の授業は順調に進み,尋ねると皆さんはきちんと初級の内容を復習しました。第四課は丁寧な(日本風の言い回し)台湾語表現を会話文で勉強します。第五課と第七課は読み物で,漁夫の利,桃太郎と笑い話数話で構成して,葬式との関係するブラックユーモア,文化背景を紹介する以外,台湾映画(葬式と関連する内容を)のプロモーションビデオをyoutubeで鑑賞してリアルな言語文化状況を観察しました。第六課は結婚式のスピーチです。受講生たちはこの実用的な内容を実によく頑張って練習しました。第八課は台湾の民間信仰に関する会話文です。神の意思を示す「杯pue」で受講生たちは神様と相談したい内容をバーチャルの三尾神社に向かって台湾語で実践しました。最終日自由発表は二つ分かれます。「漁夫の利」のアニメーションを使用して台湾語弁士になるプロジェクトと自由発表です。「台湾語弁士プロジェクト」ではグループを分けて,テキストの内容を参照しながら,アニメーションの状況を合わせて,台湾語で説明する教室活動です。短い研修の中で,受講生たちは休憩の時間を利用して,ディスカッションして,疑問のある部分を講師と相談して,実によく頑張りました。内容を聞くと,漫才方式でかけ合わせたり,笑わせる落ちをつけたり,コミュニケーションのスタイルをいろいろ考えて,実践しました。自由発表は受講生のアイディアを光らせる部分でもあります。多彩な題目を台湾語で発表しました。台湾語歌の紹介,台湾見聞録,私の台湾語を勉強する理由,鹿児島は良いところ,勧人莫過台湾歌,古今和歌集にある詩について,白蟻大作戦,ジャンケンの歌と手遊びなど,本当にサプライズが多く,楽しい共同勉強の一時でした。これらの発表をみて,受講生の質の高さに感動しました。
6. 研修の成果と課題 詳細
今回の集中研修は初級のフォローアップのために開講されたものです。一日3時間。90分の2コマに分けて授業しました。平日は18時から21時まで,休日は13時から15時までの設定で,人によって,学校や仕事が終わってから受講に来るため,受講時間を均一に18時から21時にしたほうがよいという意見がありました。テキストの編集は初級のスタイルを引きついでいて使用しやすかったというコメントもありました。植民地時代の教科書を現代でも使えるアレンジについて,よい反響があり,更にまとめてほしいという意見も得ました。教科書以外に映像や実践活動を合わせて言語文化背景を紹介した点では,高い評価がありました。また,日本語-台湾語辞書が少なく,作文する際には苦労したというコメントもありました。台湾語講座とテキストが少ない状況の中で,今回のフォローアップ集中講座は受講者にとってよい機会のようでした。モチベーションの維持や更に会話力を高めたい,台湾をもっと知りたいなどの理由で毎年開催してほしいというコメントもありました。
(林虹瑛)
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