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Hakka

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客家語授業風景
研修期間
2011年8月10日(水)~2011年9月9日(金)
午前10時00分~午後4時30分(土・日曜日は休講)

研修時間
115時間

研修会場
新大阪丸ビル本館10館
(大阪府大阪市東淀川区東中島1-18-5)

講師
田中智子(神戸夙川学院大学講師)
黄鴻松(高雄市美濃区龍肚国民小学校・教育部本土語言教育(客家語)指導員)

文化講演
堀江俊一(至学館大学教授)
渡邊欣雄(中部大学教授)

受講料
69,000円(税込み)

教材
『客家語入門』(田中智子著)(4.05MB)
『客家語語彙集』(田中智子編)(934KB)

講師報告

1. 期間と時間 詳細

客家語研修は2011年8月10日(水)~9月9日(金)の約5週間にわたって行われた。研修時間は10時から休憩時間を挟んで16時半まで毎日5時間,合計115時間の研修となった。土曜日,日曜日は休講とした。

2. 講師 詳細

授業は主任講師(田中)とネイティブ講師(黄鴻松 コウ・コウソン)が担当した。

2.1 研修担当講師
田中智子(神戸夙川学院大学講師)
黄鴻松(高雄市美濃区龍肚国民小学校・教育部本土語言教育(客家語)指導員)

黄鴻松先生は,長年高雄市美濃区龍肚国民小学校の主任(日本の小学校の「教頭」にあたる)を勤めている。昨年12月からは教育部本土語言教育(客家語)指導員として,小学校に籍をおきつつ,主任の職からは一時離れ,客家語の母語教育推進に活動の中心をおいている。そのため,今回の研修のために来日し,研修の全期間にわたって講師をつとめていただくことができた。専門は言語学ではないが,田中が本格的に客家語の調査を始めた2000年には,すでに龍肚小学校における母語教育プログラムの責任者として活動しておられ,教育者として充分な経験をお持ちである。今回もその経験を生かし,上手な日本語でユーモアを交えながら授業を進め,時には得意のギターやアコーディオンで伴奏をしながら客家語の童謡や民謡を指導してくださったり,簡単なゲームを使って語彙の定着を促すなど,受講生を飽きさせない楽しい授業をしていただいた。

2.2 文化講演講師

三尾裕子先生(AA研教授)に,文化人類学がご専門である下記のお二人の先生をご紹介いただいた。

堀江俊一(至学館大学 人文学部 アジア学科教授)
渡邊欣雄(中部大学 国際関係学部 中国語中国関係学科教授)

各先生の文化講演の内容については第7節で詳述する。

3. 教材 詳細

今回,日本語による客家語の教材を作成できたことは研修の大きな成果の一つであった。客家語には,Hashimoto, Mantaro J.1973 (2010年再版)The Hakka Dialect: A Linguistic Study of its Phonology, Syntax and Lexicon (Princeton/Cambridge Studies in Chinese Linguistics)や,橋本萬太郎(1972)『客家語基礎語彙集』(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所)を始め,多くの研究書や語彙集,辞書等が出版されてはいるが,日本語による学習書のたぐいはそれほど多くはない。筆者の知る限りでは,大学書林から出版されている,温 戴奎著『客家語基礎語彙集』,『客家語会話練習帳』のみである。また,上述の先行研究や教材では,広東省の梅県,台湾北部で話されている客家語を対象にしたものが一般的で,今回のように美濃の方言を対象にした研究書や教材はほとんどない。
教材の作成は2010年1月頃から着手した。1月から2月にかけて,田中が採用すべき文法事項を整理し,教科書『客家語入門』の原案を作成した。教科書に収録した会話文は,田中が作成した原案を1999年から調査協力をお願いしている鍾沐卿氏に客家語に翻訳していただいた。この作業は,AA研による現地派遣で田中が臺灣の高雄市美濃区に滞在していた2011年2月27日~3 月15日の間に行った。その後,黄鴻松先生と,同じく語言指導員の林素珍先生,李宜諭先生に原稿をお送りし,文法や語彙チェックをしていただいた。特に林先生は,政府の国語推進委員会が現在進めている,客家語のピンイン方案や漢字表記の統一案に詳しく,ピンインや漢字表記のチェックにもご尽力いただいた。教科書は発音編と会話編に分かれており,会話編の各課(第1課~第26課)は,美濃を訪れた日本人大学院生が現地で生活しながら土地の人と交流するという内容を基本にしている。各スキットの内容は,田中の実体験から発想を得たもので,黄先生にも「大変自然で活き活きとした客家語の会話になっている」,と好評だった。各スキットに,単語と文法解説がついており,自然な会話を通して文法事項を学べる構成になっている。スキットの中だけでは紹介できる語彙の数が限られているため,13課まで補足した「練習」では,発音練習を兼ねて,なるべく多くの語彙の導入を心がけた。スキットや練習課題では,言葉だけでなく,同時に美濃の文化や名産等についても学べるように,お墓参りの習慣,美濃の名所旧跡,名産などの話題も取り上げた。教科書の発音編,各課の会話,単語,練習部分を黄鴻松先生と林素珍先生に現地スタジオで録音していただき,付属CD(5枚組)も作成した。なお,現地での録音は初めての試みと伺ったが,受講生の方には「男女二人の先生の声が入っていると比較がしやすいので,聞きやすかった」という声をいただいた。また,教科書に付属して,教科書に出てきた単語を整理した語彙集も作成した。

表記方法については,今回の教科書では将来的な方向を鑑みて,台湾の教育部國語推進委員会の「臺灣客家語拼音方案」を採用することにした。「臺灣客家語拼音方案」の一部は,国語推進委員会の許可をいただいて,日本語に翻訳して教科書の付録として収録することができた。漢字表記についても,まだ整理の途中ではあるが,なるべく國語推進委員会の提案する表記に従うことにした。なお,客家語独自の漢字表記は,一般の日本語ウィンドウズ,Wordなどのソフトでは対応していないため,澤田英夫先生(AA研准教授)にご指導をいただき,臺灣で作成され,配布されている無償ソフトを利用した。

4. 受講生 詳細

受講生は日本人6名であった。内訳は,東京外国語大学の単位履修生(修士課程1年)1名,社会人5名 (うち4名は大学教員)だった。受講の動機は,大学院生はモンゴルの言語政策が専門だが,客家語のおかれている状況が自分の研究テーマに何らかの共通点があるのではないかと思ったということ,一般の社会人の方1名は,自分の祖父母が台湾の客家人であったことを最近知り,客家語に興味を持ったということである。大学教員の方は,すべて中国語学を専攻,ないしは学ばれたことがある方で,広東語の学習経験もあり,中国語の方言に興味があるという方ばかりであった。

全員が客家語初心者であったが,習得の課程に大きな差がでた。それには,いわゆる「中国語」の習得レベルの差も影響したと考えられる。言語として考えれば客家語と「中国語」は別の言語であると考え,今回の研修は,募集の際,いわゆる「中国語」の学習歴は問わなかった。しかし,今回の受講生は全員中国語の学習歴がある方ばかりであった。ただし,勉強を始めたばかりの人から,仕事として教えている人までレベルに大きな差があり,傾向として4名の大学教員(全員が中国語講師)の方の習得が早く,大学院生(モンゴル語専攻)と社会人の方が遅れ気味,という状況が見られた。たとえば,有気音と無気音の区別があること,声調があること,大まかな文法,などについては,「中国語」と客家語は共通している。さらに,大学教員の方は全員広東語の学習歴があった。広東語は言語的に客家語に比較的近いと考えられている言葉で,広東語の知識も客家語の習得に大きな助けになったことは間違いない。教える側としても,これだけ習得状況や知識の差が大きい受講生を同じクラスで教えるというのはいささかやりにくかった。今後中国語の方言の研修を開講する場合は,募集の際に何らかの配慮は必要なのではないかと感じた。

教室では,現地で出版されている客家語の母語教材等を持参して教室内に置き,自由に閲覧ができるようにした。

5. 会場 詳細

会場は新大阪駅付近の貸し会議室(株式会社ジャパンライフ 新大阪丸ビル本館)を使用した。ビルスタッフの対応も良く,コピーも事務室で実費で対応してくれた。交通の便について大阪在住の受講生数名に聞いてみたところ,悪くはないとのことだった。今回文化講演をお願いしたお二人の先生も,新幹線を利用されたので,全体的に言っても立地条件には問題がなかったと思う。 さらに付け加えれば,株式会社ジャパンライフは会場近くにウィークリーマンションも所有しており,値段もそれほど高くないと聞いているので,今後外国人講師や受講者が利用するのには便利かと思われる。

教室では,現地で出版されている客家語の母語教材等を持参して教室内に置き,自由に閲覧ができるようにした。

6. 授業 詳細

第1週目は台湾の客家語や美濃鎮の紹介をしたあと,発音を学んだ。第2週目には,第一課で名前の呼び方を学んだことを機に,黄先生が各受講生に客家語式の呼び名をつけ,授業で指名するときなどはこの客家語式の呼び方を使うようにした。2週目の後半から最終週までは発音の習得に重点をおきつつ,会話編のスキットを中心に進めた。

各課の進め方は,まず新出単語,補充単語,スキットをネイティブ講師に読んでいただきながら,各自がそれを繰り返して発音練習を行った。その後1名ずつ発音をしてもらい,黄講師がそれを直していった。受講生が黄講師の発音との違いを理解しにくい場合は,適宜田中がアドバイスをした。その後,田中が語彙,文法の解説をした。ひと通りスキットを学んだあとは,発音練習やフレーズ練習を通して語彙や表現に習熟してもらい,ペアでスキットの練習をしたり,学んだ語彙を使って簡単な文を作って発表してもらう,という練習を行った。また,3週目に「民宿の予約」というテーマのスキットを学んだ時には,台湾の林素珍先生にご協力いただき,受講生の方に実際にインターネット電話を使って「民宿の予約をしてもらう」という課題に挑戦してもらった。受講生は普段接している黄先生以外のネイティブスピーカーと会話をするという経験に緊張した様子だったが,林先生にはCD録音の際にも協力していただいていて,予習・復習をしている受講生にはある程度聞きなれた声だったためか,大体林先生の質問は聞き取れたようであった。隣に待機していただいた黄先生に発音を直してもらいながら,全員課題をこなすことができた。

上述の応用練習だけでなく,スキットの暗記もしてもらう予定でいたが,受講生は自分の言いたいことを客家語で言いたい,という傾向が強く,「○○はなんというのか?」という質問が多くあった。そのため,語彙の補充やそれに関連する事項の説明に時間を費やすことが多くなった。結果として,語彙を増やすという効果はあったが,習った言葉を覚えるという部分が弱くなってしまったのではないかということが,今回の反省である。

会話や文法事項の学習の他に,文化背景もなるべく触れるよう心がけた。客家のことわざを教科書の各課に配しただけでなく,写真や映像を使って,お祭りや墓参りなどの重要な行事,食文化,美濃の小学生たちの生活等を紹介した。また,客家語の童謡や「山歌」という伝統的な民謡を練習した。

1日の大まかな流れとしては,午前中に復習,お昼休憩のあとは集中力が切れ易くなるので,文化紹介や歌の練習,それから新しい課,という構成になった。 復習では,すでに学んだ単語やスキットの発音練習,スキットを応用した会話練習や黄先生との自由会話などを行った。上述したように,受講生の方の「自分が言いたいことを客家語で表現したい」という熱意は強く,ひとつの質問がまたさらに次の質問に続いたり,黄先生の補足説明が広がっていったり,という様子で,午前中の授業時間がすぐに終わってしまうような状況だった。
 正しい発音を身につけなければ「通じる客家語」が話せるようにならないこと,また,ネイティブスピーカーが直に発音を直してくれるチャンスはこの研修期間しかないことを鑑み,本研修では一貫して「正しい発音の習得」に重点を置いて授業を行った。そのため,当初の予定よりも大幅に進度が遅れてしまい,最後の週は発音練習を簡単にして何とか26課までの説明は終わった。ただし,当初予定していた昔話の読解は時間の都合で扱わなかった。読解については読解のテキスト,音声,解説等を,今回開設したサイトに後々アップロードしていくということで受講生の方にはご理解いただいた。

最終日の前日には,インターネットを利用して黄先生の勤務先である美濃区龍肚国民小学校とテレビ電話を結び,30分ほど現地の児童や先生方と客家語で交流会を行った。交流会では,最初に受講生が一人一言ずつ客家語でスピーチをしたあと,児童の質問に受講生の方たちが答えたり,逆に受講生の方が児童に質問をするという方法をとった。受講生の一言一言に,児童たちが反応してくれたため,「自分の客家語が通じた」ということが実感でき,受講生の皆さんも楽しみながら1ヶ月の成果を感じ取っていたようである。なお,この交流会の模様は,田中によるこの研修会の説明も含め,台湾の客家電視台(客家テレビ)の夜のニュースで報道された。


大阪会場の様子


美濃会場(龍肚小学校)の様子

台湾政府では昨今母語教育に力を入れているが,黄先生のお話では,一般の人に標準語(=中国語)偏重の傾向は依然として強く,「(客家語を)推進したくても,受け入れる素地がない」ことが一番の問題だということであった。 今回の交流は,受講生の実践練習として良い機会になっただけでなく,現地の客家の子供たちが自分たちの文化や言葉に改めて価値を見出すきっかけになってくれたのではないかと思う。

最終日の午後には,神戸在住の客家人,李安琪(り あんき)さんにゲストとして来ていただき,交流会を行った。李さんは,高雄県の隣の屏東県の出身で,李さんの話す客家語は美濃で話されている客家語に非常に近い方言である。黄先生とは以前からの友人で,田中も面識があったことから,今回ボランティアでご協力をお願いした。李さんは,客家人の「おふくろの味」という「碗仔粄」を作って持参してくださり,受講生は「おいしい,おいしい」と本場の味を喜んでいた。交流会ではまず李さんに客家語で自己紹介をしていただき,台湾でしていた仕事のことや,日本にお嫁に来た経緯などを伺った。そのあとで受講生が一人一人自己紹介をし,李さんの質問に答えた。李さんの客家語と黄先生の客家語では少し違う言い回しを使う場面もあったが,受講生は大体の内容は聞き取れていたようで,李さんとの簡単な会話も大きな問題なく成り立っていた。今回の研修では,特に試験や発表会のようなものは行わなかったが,上述の現地とのビデオ通話や,李さんとの交流会を通じて,受講生の会話力の上達が確認できた。また受講生自身も,黄先生以外のネイティブとの交流によって,自らの成長が確認できたのではないかと思う。

7. 文化講演 詳細

文化講演は8月26日, 9月8日の2回行われた。

第一回 8月26日(金)15時半~16時半
堀江俊一先生(至学館大学 人文学部 アジア学科)に,先生が現地調査をされた台湾北部の客家の文化や台湾における客家の状況について,ご講義いただいた。
第二回 9月8日(木)14時半~16時半
渡邊欣雄(中部大学 国際関係学部 中国語中国関係学科) に,「客家と風水」という題でご講義いただいた。講演の内容は大きく分けて2つあり,前半は,「客家人とは」,後半は「風水」についてお話いただいた。文化人類学的視点から見ると,客家人が他の漢民族とは異なる独自の文化をもつという主張には疑問があるというお話や,沖縄に客家と同様の風水(墓)の建て方が見られることなど,台湾という地域を超えた広い視点での「客家論」を展開された。

8. 研修の成果と課題 詳細

「受講生」の項で上述したように,各自最初のスタートラインにかなり開きがある状態でスタートしたが,最終的には上述したように全員が黄講師以外のネイティブと基本的な客家語の会話をかわすことができるようになった。発音については,まだ不安がある受講生もあり,今回の授業期間だけでは十分な指導をするには不足の感が否めない。しかし,客家の親族がいることがわかった,という社会人の方が,来年親族を訪問するときに使いたい,と言ってくださったり,早速美濃に旅行に行って客家語を使われた方がおられたり,「今後も継続して学びたいので『中級』の教材を作ってほしい」という方も複数あって,皆さんの今後の学習の継続と成果に期待したい。
さらに,「教材」の項でも述べたが,日本語による客家語の本格的な教材(『客家語入門』,『客家語語彙集』, CD5枚)ができたことも大きな成果であった。田中の知り合いである国内の客家語,及び漢語研究者からはすでに数件教材がほしいとの問い合わせがあり,さらに台湾の母語教育関係者にも関心を寄せられている。今回,台湾の「客家語ピンイン表記」転載の件でお力添えいただいた江俊龍教授からも,ぜひ本教材を送ってほしいとのお申し出をいただいている。

漢語研究の分野では客家語の研究者はまだ多くはなく,先行研究も広東語,上海語,台湾語など他の漢語諸語に比べると少ない。しかし,漢語史研究の上でも,漢語諸語の比較研究の上でも客家語の占める位置は決して低くはなく,漢語研究者の客家語に対する興味は高い。また,台湾と日本との人的結びつきは強いもので,今回の受講生にもおられたが,台湾にルーツをもつという日本人も少なくない。このような環境の中で,一般の方でも客家語に興味を持つこともあるだろう。したがって,今回の講習と教材作成は日本における客家語教育の大きな一歩といえるのではないだろうか。今後の課題としては,(1)初級教材のさらなる充実,(2)中級教材の作成,(3)辞書の作成,の3つが考えられる。 (1)については,今回一般社会人を受講生として迎えて,今回の教材の中の説明の不十分な点に気づいた。今後自習ができるような教材作りを目指すならば,内容を再検討したい。(2)については,今回の受講生の方から,ぜひ中級レベルの勉強も続けたい,という要望があった。(3)については,今回の教材で使用した語彙を収録した語彙集を作ったが,これについても受講生の方から「さらに語彙を増やし,例を載せた形の語彙集か辞書がほしい」という要望があった。客家語の語彙集としては,橋本萬太郎『客家語基礎語彙集』という素晴らしい先行研究があるが,この語彙集で収録されているのは梅県や台湾の北部客家語のみであり,南部の特徴を持つ美濃客家語の語彙も含めた語彙集または辞書ができれば,さらに客家語研究や漢語諸語の研究に貢献ができるであろう。

9. おわりに 詳細

今回の研修は,熱心かつ協力的な受講生の皆さんと,黄鴻松先生なくしては成り立たなかったことであろう。黄先生は,緑豊かな農村の美濃とは全く異なる,異国の大都会という慣れない環境で,最後まで一生懸命に教えてくださった。台湾で教材作成の段階からサポートしてくださった林素珍先生の存在も忘れてはならない。黄先生を始め,台湾客家の方々が熱心にご協力くださった影には,自分たちの言葉や文化を大切にし,残していきたいという気持ちがあるのではないかと思われる。今回の研修を通じて,これらの客家の方々の気持ちに少しでも応えることができたならば幸いである。
最後に,このような貴重な機会を与えてくださったアジア・アフリカ言語文化研究所所長,栗原浩英先生,言語研修専門委員会委員長,稗田乃先生,副委員長,澤田英夫先生,客家語言語研修担当者である峰岸真琴先生を始めとする委員会の諸先生方および研究協力課の皆様に心からお礼申し上げる。

(田中智子)

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