[展覧会名]
「スタジオ・フォトグラフィ・アズ・ア・ドリームマシン」展
夢を創る機械としてのスタジオ写真
ケニアのスタジオ写真家たち1912-2001

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[特別開催](本展は「国立大学フェスタ2010」の一環として開催します)
2010年11月19日(金)~11月23日(火) 午前11時~午後5時
[場所]
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所一階資料展示室
※土・日・祝日開場
※入場無料
[問い合わせ先]
TEL: 042-330-5600 FAX: 042-330-5610
E-MAIL: dream-machine@aa.tufs.ac.jp

 植民地時代、アフリカの人びとを被写体にした写真がしばしば彼らの同意を得ることなしに、無数に撮/盗られてきました。こうした「映像における植民地化」のかたわらで、アフリカの人びとも写真を撮り、写真というメディアをさまざまに活用してきたことが見落とされてきました。
 本展では「アフリカ人の写真家によるアフリカ人のための写真」に焦点をあて、ケニアの「スタジオ写真」の過去と現在をご覧にいれます。
 「スタジオ写真」は、写真に求められる写実性に封じこめられることなく、むしろ現実から人を解き放ってゆく「夢を創る機械」としての側面を持っています。
 アフリカの写真家たちのイマジネーションが創りだしてきたグローバルでファンタジックな世界をどうぞご体験ください。

■ケニアのスタジオ写真
 植民地時代、アフリカの人びとを被写体にした無数の写真が、しばしば彼らの同意を得ることなしに、撮/盗られてきました。こうした「映像における植民地化」のかたわらで、アフリカの人びとも写真を撮り、写真というメディアをさまざまに活用してきたことが見落とされてきました。本展では、これまであまり注目されることのなかった「アフリカ人の写真家たちによるアフリカ人のための写真」に焦点をあてます。そのなかでも「夢を創る機械」として親しまれてきたケニアの「スタジオ写真」をとりあげます。
 一八七〇年代、ケニアでは、ヨーロッパ人やインド人によって、最初の写真スタジオが開設されました。一九六三年にケニアがイギリスから独立すると、現地の人びとが経営する写真スタジオが徐々に増えていきました。本展ではまず一九一〇年代から一九八〇年代にかけて、ケニアの「写真スタジオ」、特にインド洋に面した港町モンバサのスタジオで撮影されたモノクロ写真を展示し、写真のコラージュや合成などによって、さまざまな夢を描いてみせた当時の人びとと写真との関わりに迫ります。

■リコニの写真家たち
 一九八〇年代にカラー写真が普及しはじめると、従来のスタジオに代わって、新しいタイプのスタジオが登場します。その担い手となったのは、「リコニの写真家たち」と呼ばれる若い写真家たちです。一九九〇年代以降、モンバサのリコニという街に、手作りの小さな写真スタジオが次々と建てられ、モンバサで働く人びとや、観光に訪れた人びとを対象にした「スタジオ写真」が撮られるようになりました。スタジオには、豪華客船で旅する海外のリゾート地や高層ビルが林立する大都会の風景など、さまざまな装飾が施されました。このスタジオに写真を撮りに訪れる人びとは、つかの間のあいだ、現実の生活を忘れ、夢の世界をたのしむのです。本展では、このリコニのスタジオをモデルにした特設スタジオを会場に設置しました。
 本展は「アフリカにおける写真の受容と利用に関する研究」で知られるケルン大学アフリカ学研究所のハイケ・ベーラント教授の企画によるものです。教授のコレクションの中から選ばれた五〇点あまりの写真と特設スタジオを通して、日本ではまだあまり知られていない、アフリカの人びとの写真との関わり方やたのしみ方を、どうぞご覧ください。

■企画原案
○ハイケ・ベーラント
「夢を創る機械としてのスタジオ写真―ケニアのスタジオ写真家たち1912-2001」(英語)