海外学術調査フォーラム

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  • IV 南・西アジア・北アフリカ
  • IV 南・西アジア・北アフリカ

    座長飯塚 正人(AA研)
    髙松 洋一(AA研)
    話題提供者岩崎 えり奈(共立女子大学)
    タイトル「中東の調査事情―エジプトでのアンケート調査を中心に」

    分科会では最初に参加者が自己紹介をしたあと、岩崎えり奈氏(共立女子大学文芸学部)により、「中東の調査事情――エジプトでのアンケート調査を中心に」と題して情報提供が行われた。社会調査の種類や方法などに関する一般的な解説に続いて、情報提供者がこれまでにたずさわってきた中東地域(エジプト、ヨルダン、イエメン)における調査票を用いた調査員によるアンケート形式の複数の調査(今後実施予定のものも含む)について、目的や、準備から実施までの過程、調査を実施した機関(現地国の統計局や民間シンクタンクなど)、サンプル数をはじめとする概要が紹介された。

    またこれらの調査とは別に、情報提供者が参加したプロジェクトの中から、理系研究者と文系研究者が合同で行った事例として、「エジプト灌漑システムの学際的研究」が紹介された。プロジェクトを実施する過程の中で、理系研究者の対象に対するアプローチ方法や根本的な問題関心のあり方が文系研究者のそれと違うことが実感された一方で、文系研究者にとっても参考になるものがあったという。

    話題提供の最後では、中東での社会調査の計画立案から実施に至るまでの過程における要点がまとめられ、受入れ・調査実施機関との緊密な協力関係、公的機関からの調査許可の取得、予算の確保と効率的利用が必要不可欠であること、また、人を対象とする調査では女性調査者の存在が重要であることなどが指摘された。

    情報提供に続く意見交換の時間では、最初に、出席者からの質問に応えるかたちで、調査に参加・協力した現地スタッフに対する人件費について、金額の算定基準や支払方法、会計処理の手続きなどが、情報提供者やその他の出席者から紹介された。また、海外で調査を行うにあたっては、戦争や自然災害などの緊急事態に備えておくことの重要性が指摘された。意見交換時間の後半では、持続的な調査を現地スタッフに委託する方法や、現地スタッフを用いた調査で留意すべき点、調査者・研究者と現地社会との関わり方などをめぐって、活発な意見が交換され、盛況のうちに散会した。


    (報告:太田 信宏(AA研))