海外学術調査フォーラム

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  • Ⅴ 北ユーラシア・中央アジア・極地(含ヨーロッパ)
  • V  北ユーラシア・中央アジア・極地 (含 ヨーロッパ)

    座長本山 秀明(国立極地研究所)
    飯塚 正人(AA研)
    話題提供者福井 幸太郎(国立極地研究所気水圏研究部門)
    タイトル「ロシアとネパールでの永久凍土調査の体験談」

     北ユーラシア・中央アジア・極地(含むヨーロッパ)分科会には、座長・話題提供者を含めて、9名の参加があった。

     情報提供者の福井幸太郎氏は新進気鋭の若手研究者であり、世界各地の永久凍土の調査を行われている方であった。詳細は、ご本人の要旨に譲るが、ロシア・アルタイ、カムチャッカ、ネパール・ヒマラヤ、南極半島での調査経験をお話しいただいた。少ない予算を遣り繰りして、しばしば単身で調査に行かれるとのことであり、そこで生じるさまざまな問題――カウンターパートとの関係、現地での補助者の雇用、当局との折衝、住民との関係など、フィールド・ワークにつきもののさまざまな問題を一人で解決されている姿が印象的であった。

     質疑では、今後の研究対象としてどの地域を考えているか、調査地の決定はどのように行うかなどの質問が出た。前者に関してはアルタイと南極半島を中心に考えているとのことであり、後者に関しては凍土地図や気温を元に決定しているとのことであった。地球の温暖化ともかかわるホットな研究をわかりやすく説明いただいた。

     続いて、参加者それぞれが自分の研究を紹介するとともに、関連の問題提起がなされた。バイカルから北極圏の水資源の研究をされている参加者からは、生物資源の持ち出しの問題、調査に利用する船舶の賃料の支払い方法の問題、為替レートの換算の問題などが提起された。ヨーロッパの歴史認識に関する研究をされている参加者からは、歴史認識に関する世論調査を行う方法について、問題提起があった。東ヨーロッパの農村調査を行っている参加者からは、現地のEU加盟による影響への懸念が示された。理科系の参加者から文科系の海外調査にはイメージがわかないが、どのようなものかという質問があり、座長の飯塚所員が自分のカナダ調査の経験を紹介した。

     極地からヨーロッパまで地域もまた専門もさまざまであったが、ロジスティックを含めて共通する問題はあり、有意義な分科会となった。


    (報告:近藤 信彰(AA研))