海外学術調査フォーラム

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  • VII アメリカ大陸
  • VII アメリカ大陸

    座長伊藤 元己(東京大学大学院総合文化研究科)
    木村 秀雄(東京大学大学院総合文化研究科)
    話題提供者西田 治文(中央大学理工学部)
    タイトル「南米パタゴニアにおける白亜紀後期以降の植生および気候変遷と最近の現地調査事情」

    アメリカ大陸分科会は、東京大学大学院総合文化研究科の木村秀雄教授と伊藤元己教授を座長として、参加者7名(AA研所員を含む)を得て開催された。

    分科会では最初に、古植物学が専門の中央大学理工学部西田治文教授から、「南米パタゴニアにおける白亜紀後期以降の植生および気候変遷と最近の現地調査事情」と題して、話題提供が実施された。南アメリカ大陸南部パタゴニアの亜南極落葉樹林に多く見られるナンキョクブナなどの植物化石の収集調査の一端が報告されるとともに、そうした調査などerから明らかとなった約7千万年前の白亜紀後期以降のパタゴニアにおける植生と気候の変遷についての解説が行われた。また、チリを事例として、化石・植物の採集調査を行うための許可取得の手続きや、採集したサンプルを国外に持ち出す際の申請手順や条件について、説明があった。チリの場合、こうした申請手続きは比較的円滑に処理され、運搬業者によるサンプル搬送の便も良いことが紹介されたが、ある程度の時間的余裕をとるべきことや、南アメリカ諸国の間で状況はかなり異なることも指摘された。

    話題提供の最後では、宿泊施設や道路状況といったパタゴニア現地の事情が紹介された。特に、主な移動手段は自動車となるが、道路が未整備であるため、レンタカーを借りる際には、その点を充分に考慮して車種を選択すべき(推奨は、信頼できるメーカーの高品質の四輪駆動車)とのことであった。また、現地調査などにおけるチリ大学との研究協力は、現地の専門研究者が新しい世代に増えつつあることから、今後さらに拡大する見込みであるという。

    話題提供に続く意見交換の時間では、パタゴニアの植生の変遷について質問が出されたほか、道路建設に伴う森林破壊など、パタゴニアの自然環境に及ぼした人間活動の影響をめぐって質疑応答があった。また、やはり南アメリカ大陸に位置するアマゾン熱帯雨林を対象とした植生研究の現状について、情報と意見の交換が行われた。


    (報告:太田 信宏(AA研))