海外学術調査フォーラム
VI サハラ以南アフリカ
座長 | 稗田 乃(AA研) 永原 陽子(AA研) |
話題提供者 | 清川 昌一(九州大学理学研究院) |
タイトル | 「南アフリカの野外地質調査とレンタカー・サンプル持ち出しについて」 |
出席者 15人。自己紹介をしたうえで、話題提供者の清川氏に話を始めていただいた。
<清川昌一氏 話題提供「南アフリカバーバートン地域 地質調査」>
初めに地質学について、門外漢にもわかるように150億年を1本の線にみたてた図を示しながら、地球が誕生した初期を研究対象としている旨、簡明に説明してくださった。その後南ア付近の古い地質をとくにとりあげ、4億年くらいまえの岩をみることができるという谷の写真をみせてくださった。それは海底で溶岩が噴出したそのままの形が岩になっているもので枕状溶岩とよばれているものだった。
あまり知られていないが、スワジランドの鉄鉱床は、日本が古くから掘っており、当時の表層鑑定も残っていることも明らかにされた。この地域では43000年まえにすでに鉄をとっており、タタラ製法がなされていた。もっとも古い採掘・製鉄所とされる。当時、南アから日本へ鉄を大量に輸出していたことだった。
以上、南アにおける地質と地形についての概説のあと、南アにおいて野外調査をする際に必要な車の手配、いくつかの経験をお話くださった。
<レンタカー>
・大学の車(ヨハネスブルグ大)
大学が格安で貸すシステムが整っている。7台くらいもっていて、一般の半額くらいで貸している。
利点:安い。ガソリンもこみで保険もふくみ約7000円。すべて、大学のカードで支払いができる。
欠点:車がぼろい場合がある。たとえば、途中でガソリンタンクがとれてしまった。
・民間のレンタカー
民間の会社は高く、4WDだが一日14000円はする。
最初のチェック後、念入りにみておかないと、自分が傷つけたわけでなくともダメージチャージとられた。
ほか、気をつけねばならないのはガソリンと軽油などをまちがえられてしまうこと。
ガソリンスタンドの人はあまり考えていない。ディーゼル車にガソリンをいれられてしまいガソリンタンクをとってとりかえてもらったこともあった。
他の参加者からの情報もとりいれ、まとめると以下のとおりである。
<日本への輸送の方法>
サンプルをもって帰るときは、土壌をおとさなければならない。
たとえば600キロのサンプルの場合、24カンに分けて運ぶことになる。
1)郵便
日本への運搬はよい。税関もとおらず大学へ直で送ることができる。1便20キロまで。
2)日通
便利がよい。だが規則にきびしい。岩石(鉱物資源)などの持ち出しは難しい。
3)Skyline
インボイス、BLなどの書類が必要。通常書類がそろわないと保管料を一日5000円チャージされる。
4)船便
日本のなかでは、船便ができる港が、きまっている。船賃は1缶あたり2万円はする。
<現地での謝礼>
毎回、どうするべきか気になる。ローカル・マーケットで払うようにすべきだろう。国際機関のレートで一日100ドルだが、あちら側にとって違いはわからない。時間をかけて説明するしかない。
<予防注射>
京大には70人の学生がいるが、フィールワークに行く際には狂犬病、破傷風、A,B型肝炎の注射は受けるようにはすすめている。
狂犬病はかなり注意しなければ、危険。フィリピンで犬にかまれて二人亡くなっている。
狂う前でもウイルスがでている犬はいる。とくに頭に近いところを噛まれると危険。噛まれたら傷口は石鹸などで洗うこと。
アフリカでとくに注意するのは狂犬病、エイズ、マラリアだろうか。
<保険>
学生が病気になったら、教官はどういった対応をするべきか、情報が交換された。
もしものときのために、大学によっては緊急事故対策保険として資金を集めている。民間もそうしたものをだしている。
(報告:椎野 若菜(AA研))
