海外学術調査フォーラム

III 東アジア

座長佐藤 洋一郎(総合地球環境学研究所)
床呂 郁哉(AA研)
話題提供者中尾 正義(総合地球環境学研究所)
タイトル「中国における最近のフィールド調査の諸問題 -地球研・オアシスプロジェクトでの経験から-」

1) 中尾正義氏より、「中国における最近のフィールドワーク調査の諸問題」について説明があった。中尾氏が4、5年前に作成したビデオが上映され、総合地球環境学研究所で行われているオアシスプロジェクトの内容が紹介された(オアシスプロジェクト:ユーラシア大陸中央部で起こっている、地球環境・生活環境の変化と水との関係について明らかにしようとするプロジェクト。諸研究分野・諸研究施設が共同で研究に当たる巨大プロジェクトである)。ビデオ上映に続き、該当プロジェクト進行上の様々な問題についての説明があった。たとえば共同研究先の対応が機関によって相当異なること、調査許可にまつわる諸問題(しばしば遅延が生じる、地元関係者・軍とのコネクションが必要である、文系研究と理系研究とで調査許可取得の容易さに違いがある等)、調査担当者の国籍に関する問題(現地調査は一般的に中国国籍者の方が有利である)、試料輸出許可の問題等。また最近の中国国内の動きとして、地方によるばらつきが法整備を通して統一化されようとしていること、研究資金が充実してきていることなどが指摘された。

2) その他出席者から、海外学術調査(特に中国)における方法論・体験談が紹介された。

出席者:一ノ瀬俊明((独)国立環境研究所)、鳥羽陽(金沢大学大学院自然科学研究科)、近藤勝彦(広島大学理学研究科附属植物遺伝子保管実験施設)、布和敖斯尓(酪農学園大学)、梅村坦・鈴木健太郎(中央大学総合政策学部)、蓮井和久(鹿児島大学)、村田真理子(三重大学大学院医学系研究科)、伊藤智ゆき(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所)


文中敬称略(報告:伊藤 智ゆき(AA研))