海外学術調査フォーラム

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  • IV 南・西アジア・北アフリカ
  • IV 南・西アジア・北アフリカ

    座長黒木 英充(AA研教授)
    星 泉(AA研助教授)
    話題提供者黒木 英充(AA研教授)
    タイトル「レバノン現地研究拠点について」

    1. 黒木による話題提供
      レバノンの研究拠点 Japan Center for Middle Eastern Studies (JaCMES) の紹介

      ■財源は文部科学省特別教育研究経費「中東イスラーム研究教育プロジェクト」
        (2005年度~2009年度)

      ■ 初年度は準備に費やした
      • 現地事務所の契約とレバノン政府から認可を得るための交渉文科省学術機関課→外務省広報文化交流部→現地公館 という協力要請と支援の指示の流れフランスやドイツの同様の現地研究拠点は大使館の一部、あるいはその保護下にあるため、レバノン政府と直接必要が無いが、日本はそうではないので現地大使館に交渉窓口になってもらった。
      ■今後の活動

      • 現地拠点でシンポジウムや会議を行っていく予定
        日本の若手研究者の支援という意味もレバノンも日本との学術交流を望んでいる
      • なぜレバノンか? 
        小国だが大学や研究所の数が多く,学術・情報の中心地のひとつ。
        交通の便もよい。

    2. 堀内氏の発言
      ■アラブ世界におけるネットワーク型社会システムの維持メカニズムを調査している
      • 5~7人くらいの単位で研究を行っている
      • アラブ各地に分散し,ソーシャルネットワークをフォローするために動き回って調査する
      • セネガル,中南米,北米などでも調査

    3. 西藤氏の発言
      ■シリアのパルミラ遺跡の墓を発掘調査
      • 発掘済みの墓は0.5%程度
      • 墓の構造,遺体の扱い方などの類型を調査(三種類あることが明らかに)
      • スタッフは15名程度
      • 死後の世界が日本や中国などとは違う。家族と常に一体であると考える。副葬品もない。

    4. 山崎氏の発言
      ■バングラデシュ,インドのベンガル地域などの新薬と耐性菌出現メカニズムを研究
      • 安価な新薬の開発が進められている当該地域における多剤耐性菌の出現
      • 菌を扱うため分析や研究をどこで行うか難しい問題を抱えている
        試薬のみを持ち込み,機材は現地のものを使うなどパソコン持ち込みの制限がなくなったのは助かっている
      • カウンターパート選びの難しさ

    5. 内海氏の発言
      ■国際教育政策学という立場からユネスコ,ユニセフの教育開発政策の研究をしている
      • 教育によるエイズの削減の効果
      • ニジェール政府とのコラボレートによる「みんなの学校」プロジェクト
      • レバノンのパレスチナ難民キャンプで補習クラスに関するフィールド調査

    6. 全体討論
      ■国際学術プロジェクトと政府の関係について
      • 科研費の枠組みでは便宜供与の点で限界がある
      • 欧米の調査団の場合,調査団が到着するとサイエンスアタッシュ(科学専門官)という人がついて回ってくれるし,車も出る
      • 日本はきちんとしたルートがなく,例えば大使館は協力したくても無理なのである
      • 現地からの委託研究としてなら文科省も外務省も動きやすいというのが現実であろう

      ■現地拠点における図書資料の管理
      • ドイツ,フランスなどの研究所の場合は現地拠点には司書が派遣される。
        日本でもそういう形がとれればいいのではないか

      ■AA研に対する要望
      • 今回の催しの窓口組織を一本化できないのか?
        現状では外部に分かりにくい。
        総括班でもなくFSCでもなく,AA研が窓口になるといった形。今はどこが中心になっているのか分かりにくい。