海外学術調査フォーラム

III 東アジア

座長三尾 裕子(AA研助教授)
近藤 信彰(AA研助教授)
話題提供者なし
タイトル「東アジアの海外学術調査に関する諸問題について」

本分科会への参加者は9名(AA研所員を含む)、特に話題提供者をたてずに、それぞれが海外学術調査プロジェクトの概要を説明し、そこで見られる問題点について討議するという形式を取った。現地との関わり方という点では、今回初めて中国で医学免疫関係の調査を行うというグループから、長年に亘って現地研究者との共同研究を進めてこられた医学悪性腫瘍の調査研究グループまでさまざまであった。特に後者のグループは現地の研究者育成までを含めた協力関係を築いており、今後の共同研究のモデルとなるようなすばらしいものである。また、環日本海の環境問題に関わる研究、古人骨に関する研究も紹介され、それぞれ長年の蓄積の上にたつものであり、研究データやサンプルの持ち出しやカウンターパートとの共有といった点が問題となった。文科系では、国際援助に関するインタビューを中心とした調査、文献資料に関する調査が取り上げられた。ディスィプリンの違いは大きかったが、中国そのものを研究し現地に関わっていく文科系研究者と学問の探究上中国とも関わらざるをえなくなる理科系研究者との間でも抱える問題は共通することが明らかとなった。

来年度への課題としては、参加者一人一人の発言に力点を置いたため、やや間延びした印象があったので、話題提供者を一人たてるのがこの規模の分科会にはふさわしいように感じた。


(文責:近藤 信彰)