海外学術調査フォーラム
II 島嶼部東南アジア・太平洋
座長 | 徳留 信寛(名古屋市立大学大学院医学研究科) 梅崎 昌裕(東京大学大学院医学系研究科) |
話題提供者 | なし |
タイトル | 「島嶼部東南アジア・太平洋地域の海外学術調査に関する諸問題について」 |
[1]自己紹介(参加者全員)
[2]学術振興会への質問
主に次の3点について質問を行った。
- 保険について:海外渡航中の保険を科研費から出費できるか?
答え:できない。直接研究の遂行に必要とはいえないので。(同様の理由で予防薬なども不可) - 年度をまたがっての出張:継続課題の場合、前年度分と次年度分とわけて出費することによって、年度をまたがっての出費をすることは可能か?
答え:可能である。 - 海外での謝金の支払い、関税の支払い、クレジットカードの使用、間接経費の処理、修士課程の学生の出張などに関しては、大学間で格差がある。(可能な大学とそうでない大学がある。)これをどのように考えばよいか?
答え:学術振興会としては、研究の遂行に必要であると考えられ、会計検査で認められるような出費であれば認める方針であるが、実際の使用に関しては各所属機関の裁量に任せている。つまり、各所属機関に「このように運用しろ」と言うことはできない。対策としては、ある出費が認められない場合は、同様の出費が認められている他機関の事例を紹介するという方法が考えられる。
[3]海外学術研究における問題点についての情報交換
主に次の5点について情報交換、議論を行った。
- 保険
- 科研費からの保険の出費はできないが、学生が渡航する場合は何らかの対策が必要となる。実験による事故などで大学が訴訟を起こされた場合に備えて入っている保険や、学生が海外留学中、渡航先で加害者(渡航先の大学の備品を破損するなど)となった場合のために入っている保険と同様の枠組みを大学として作る必要がある。
- 京都大学生態学研究センターでは、海外渡航に関して部局で保険の枠組みを作った。(対象者の家族への保険ではなく、部局へ支払われる。公費支出ではない。)
- 「学生を連れて行かない」というのが一番簡単だが、後継者育成と言う観点からは好ましくない。現実的な手段として、学生にお金を渡して保険に入らせる。自主的に保険に入らない学生は連れて行かないなどの対策を取っている事例も。
- やはり科研費で処理できるように総括班で学術振興会に対して申し入れができないか。部局に保険金が入る形にすればできる可能性もある。
- 間接経費
大学によって配分はさまざま。一部部局や個人研究費に還元されるケースもあれば、全額事務局に「召し上げ」のケースも。 - 調査許可証
- インドネシアの場合:原則として、カウンターパートを決めて、LIPI (Indonesian Institute of Science)を通して申請する。最近は申請から3ヶ月くらいで許可が下りるようになっている。近年は地方分権化が進んでいるので、地方のカウンターパートから招聘してもらうという方法もある。
- 東欧諸国:文科省を通じて、外務省に便宜供与書を作成してもらい、領事館、大使館を通して交渉する。
- ニューギニア:まず、national research instituteに申請し、カウンターパートを指定してもらう。ニューギニアにメリットをもたらさない研究は撃退しようという動きがある。
- 税関:
持ち込む物品の評価価格を低く設定すれば、税金がかからないことが多い。 - 試料の持ち出し
近年、試料そのものの持ち出しは難しくなってきている。技術供与して、むこうでDNA化したり、向こうの企業に頼んでシークエンスデータにして持って来るなどの方策が取られている。
