海外学術調査フォーラム

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  • I 大陸部東南アジア
  • I 大陸部東南アジア

    座長徳留 信寛(名古屋市立大学医学部教授)
    塩原 朝子(東京外大AA研助手)
    情報提供者宮崎 恒二(東京外大AA研教授)
    堀田 博(神戸大学大学院医学系研究科教授)

    1. 自己紹介(参加者全員)

    2. 情報提供

      (1)宮崎恒二「インドネシアとマレーシアにおける調査の課題」

       主に以下の話題について情報提供が行われた。

      • 健康、安全の問題(マラリアなどの感染症、飲み水、交通事故など)
      • 調査許可証に関して(許可を得るのが困難な地域、テーマが存在する。ただし、カウンターパートに依頼すれば、不法滞在者というような難しいテーマも間接的に調査可能な場合もある。)
      • 国内の研究者組織(日本マレーシア研究会)の活動
      • 東京外国語大学アチェ文化財復興支援室の活動

      (2)堀田力「C型肝炎ウイルス(HCV)感染の疫学」

       標題の研究についての話題(インドネシア特有の「面白いウイルス」について)を中心に、現地(インドネシア)カウンターパートとの関わりについて話題提供が行われた。


    3. 学術振興会の長沢課長との質疑応答

      主に以下の質疑が行われた。

      Q1:飛行機での移動の際は、常に最低運賃を使う必要があるか。

      A1:正当な理由があれば最低運賃でなくてもOK。

      Q2:海外で使う機材は帰国の際、常に持ち帰る必要があるのか。

      A2:毎年持って帰らなければならないということはない。管理を委託するなど、適正な管理が行われていることを証明できればOK。ただし、設備の保管年限(5年)に留意のこと。車に関しても同様である。

      Q3:海外における謝金のレートの基準(国際的基準?あるいは当該国の基準?)

      A3:妥当性が説明できれば、どちらでも構わない。いずれにしても根拠が必要。

      Q4:代表者も分担者も日本国内にいる間に海外の協力者に仕事を依頼できるか。また、国内で学生等を土日に雇用することは可能か。

      A4:その間雇用管理しているという証明ができれば可能である。

      Q5:不正使用のため応募資格を停止された件数は毎年どのくらいあるのか。

      A5:総件数は十件未満であるが、一件おおがかりなものがあったため、停止された人数は80名程度である。(従来よりは減っている。)「不正にあたるケース」が周知徹底されて来ているため、今後の不正は自己責任と言うことになる。越年使用などのため自費で返還というケースもあり得るので、自分の科研費は自分でチェックというのを心がけてもらいたい。

      Q6:コメントだが、「年度内に使わないと使ったことにならない」というのが問題であろう。

      Q7:科研費による調査で得た情報を、発表前に他のジャーナリストや活動家と共有しても構わないか。(先に発表されてしまう可能性もあるのだが。)

      A7:成果が広く公開されるのであれば、誰の名義で出ようと構わない。

      Q8:一般に、科研費が禁止していない出費項目に関して、所属機関でかなり制限している状況がみられる(特に地方の大学に多い)。学術振興会の方で何とかしてもらえないのか。

      A8:文部省の方では特に制限を設けず、それぞれの機関の裁量で決めてほしいと言っている。学術振興会の方で各機関に強制力をもってどうこうとは言えない。あくまで研究者の方で所属機関に必要性を訴えてもらいたい。


    4. 総合ディスカッション

      現地での感染症(デング熱など)、資材の送付やサンプルの持ち出しに関する問題点、カウンターパートとの協力等が話題となった。また、海外学術というジャンルの問題に関して、海外学術という領域が基盤研究に移るという流れがあることについて以下のような議論が行われた。

      • 海外学術的な研究が基盤研究と同じ基準で審査されては困る。それぞれの立場で、それぞれの方がプレッシャーをかけていただきたい。
      • 海外学術的な研究を二国間協定のようなものにシフトする方向に持って行くのであれば、それもよいのではないか。
      • 二国間協定の枠では、調査費は出ず、交流がメインであるため、解決にはならないのではないか。
      • 海外学術調査の枠がなくなると、『海外調査』の枠が減ることは確かなので、海外調査にかかわる研究を行っている者に取っては損失である。