海外学術調査フォーラム

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  • Ⅲ 南・西アジア・北アフリカ
  • Ⅲ 南・西アジア・北アフリカ

    座長長野 泰彦(国立民族学博物館・教授)
    黒木 英充(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所・助教授)
    情報提供者外川 昌彦(広島大学大学院国際協力研究科・助教授)
    黒木 英充(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所・助教授)

    【参加者】13名

    【報告】

     まず最初に、外川昌彦氏による情報提供「バングラデシュの民衆文化とイスラーム」の報告があった。バングラデシュの国家像の概観、その世界遺産たる仏教遺跡とイスラーム建築遺跡についての説明の後、19世紀の国民的詩人・神秘主義思想家として位置付けられているラロン・フォキルと、その聖廟の観光資源化をめぐる政府・地元住民・ラロンの弟子たちの対立関係に外川氏自身がどのように研究者として関わったか、という報告が行なわれた。そこでは、研究者が現地の人々に調査結果をいかに還元するか、という問題が興味深い実例とともに提起された。

     続いて、黒木による情報提供「イラク戦争を経て当該地域において現地調査を実施するに当たっての諸問題と現地研究機関の紹介」の報告があった。イラク戦争と立法されるかも知れぬ日本の「イラク新法」問題が、今後日本の研究者がフィールド調査をするに当たって、深刻な影響を受ける可能性を指摘した。今年のアメリカのフィールドワークはモロッコからパキスタンにかけて、すべて中止されたとの新聞報道も紹介した。シリア、レバノン、モロッコにおける研究機関の紹介も行なった。

     その後、事前に行なわれたアンケート調査の結果をもとに、調査許可取得と科研費交付決定書における記載事項の問題、機材の搬入と機材・調査サンプルの持ち出しの問題、所属機関から文科省、外務省へと流れる便宜供与申請について、その今後のあるべき姿と調査の実際について、参加者の間で情報交換が行なわれた。(報告者 黒木)