海外学術調査フォーラム

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  • Ⅱ 東アジア分科会
  • Ⅱ 東アジア分科会

    座長諏訪 正明(北海道大学農学研究科)
    田島 和雄(愛知県がんセンター研究所)
    情報提供者齋藤 裕(北海道大学農学研究科)
    山内 博(聖マリアンナ医科大学医学部)
    報告者諏訪 正明(北海道大学農学研究科)

     東アジア分科会では、齋藤裕(北海道大学農学研究科)および山内博(聖マリアンナ医科大学医学部)の両氏に情報提供をお願いし、東アジア、特に中国での調査の実際と問題点が話し合われた。両氏の話題概要は別掲のとおりである。

    1. 海外共同研究者に関わる問題点
      経費の支出:対等の資格で当該研究に参画する建前から、科研費補助金からの支出は認められていない。しかし、調査実施国の多くが開発途上国である現実との乖離が指摘された。研究協力者として位置づけるなど、工夫ある対応が求められている。
      日本入国のビザ取得:日本外務省の都合による煩瑣な手続きと取得までに長時間を要する点が指摘された。日本大使館へ電話で依頼するなど、直接的な働きかけが有効との経験談が披露された。
      調査国内における影響力、地位:調査に関わる許認可の取得にはカウンターパートの力量が大いに影響する。それなりの人が共同研究に加わるよう、人選に配慮が必要である。

    2. 標本、資料に関わる問題点
      調査国外への持ち出し:近年、研究資料、成果における母国主義の高まりは多くの国に共通する動きであるが、日本ではこの方面の検討をおこなっておらず、日本の研究者には厳しすぎる条件が科されることが多い。相手国における法的整備も途上にあり、その基準、対応も研究分野、交渉機関で一貫性があるとは言えない。
      経済的に有用な遺伝子資源としての情報を内在させる生物標本はもとより、分類学的、生物地理学的研究のための生物標本であっても厳しい条件が通常化しており、調査資料の持ち出しが制限されたり、不許可になり、研究目的の達成が困難視されるケースも出ている。カウンターパートを介した事前の入念な準備が求められている。
      医学、疫学的調査のためのDNA情報の収集についても、独自の書式を作成し、説明責任を果たした上での同意に基づいて行っているとの報告がなされた。この関連で、現地調査に基づく医療指導によって現地の中毒症の軽減に貢献した実績が、その後の円滑な調査に極めて有益であったとの話が披露された。

    3. その他
      予算の次年度繰り越し、相手国への機器の寄贈、研究成果の調査国内における出版に関わる予算等、正攻法的解決の難しい問題が指摘された。

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