海外学術調査フォーラム
I 太平洋・東南アジア分科会
座長 | 佐藤 洋一郎 (静岡大学農学部) 河野 泰之(京都大学東南アジア研究センター) |
報告者 | 佐藤 洋一郎 (静岡大学農学部) |
この分科会には約40プロジェクトの代表の方々が出席しました。話題提供は河野泰之さん(京大東南アジア研究センター)と室岡義勝さん(阪大生物工学国際交流センター)でした。河野さんからは東南アジアを回られた経験から調査のプラクティカルな部分を、また室岡さんからは阪大が設置した東南アジア共同研究拠点(バンコク)での活動についてご紹介をいただきました。
質疑応答のあと、自己紹介を兼ねて各自の調査国や問題点などを紹介していただきました。各班からはさまざまな問題が出されましたが、それらは以下の3点にまとめられるようでした。
- 未知の調査地に出かけるのに対して、安全に関する情報、カウンターパートの探し方など、さまざまな情報が得られないでいる
「情報化時代」は情報不足の時代だそうですがまさにその感があります。情報洪水に見舞われた感じです。以前に比べると班を越えた交流が少なくなってきているという印象を強く受けます。 - 一方各大学や学振などが地域オフィスのようなものを開設しているが、その存在すら知られていないケースが多い
阿部健一さん(民博=欠席)からも、地域オフィスの利活用に関して、オフィスを利用した異なる研究組織間の交流を図るべきとの提案を頂きました。 - こうした事情を反映して各班ともさまざまなレベルの問題を抱えている
班員の健康管理のような古典的かつ今日的課題、生物資源の持ち出しのように今後一層複雑さを増すことが確実な課題など、さまざまな問題が未解決のままです。今後全体会と地域分科会の有機的な取り組みが求められそうです。
この数年で調査対象や班員の意識が大きくかわってきたという印象を受けました。また予算執行に関しては例年通り関心が高かったのですが、執行に当たり研究者の側が杓子定規に考えすぎているところもあるようです。もっと柔軟で弾力的な執行を考えてもいいのではないでしょうか。