海外学術調査フォーラム

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  • Ⅴ アフリカ分科会
  • Ⅴ アフリカ分科会

    座長田中 二郎 (京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科)
    報告者真島 一郎 (東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所)

     アフリカ分科会では、次年度にアフリカ地域での海外学術調査を予定する14の調査隊のうち10隊について、代理出席者・同席者を含め14名の出席があった。座長は、京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科の田中二郎氏がつとめた。情報提供については、京都大学理学研究科の山極壽一氏と東京都立大学人文学部の松園万亀雄氏を中心として、出席者相互の自由質問と回答による進行形式で、海外学術調査の多様な側面にわたる情報の提供と交換がなされた。

     山極氏は、チャド、カメルーン、ガボン、コンゴ共和国、コンゴ民主共和国、ルワンダでの実情をとりまとめた情報提供をおこなった。

     第一に入国ヴィザについては、上記諸国のうち日本に大使館が設置されていない国のヴィザはパリでの取得が望ましく、通常は2週間ほどで取得可能である。取得に際しては、本国照会がなされたり、滞在国でのホテルの予約が必要な場合もあり、事前に調査許可がおりていれば取得は容易である。

     調査許可の窓口は、大学・研究所組織の他、科学省や高等教育局、森林省、自然保護局、国立公園観光局、各種NGO、WWFなど、調査内容に応じて多岐にわたる。調査許可の条件としては、互恵性(継続的なパートナーシップ、科学・技術協力)、共同研究、資料の交換と保存、研究者・技術者の交換・交流、調査に必要な機材の搬入(免税措置)と使用後の機材の権利と保管、研究上の便宜(施設、設備、他の関係機関との協力)、出張費用や装備などの負担、研究発表に関する取り決めや支援、現地の学生に対する指導・支援、報告書の作成などがあげられる。

     また実地調査にあたっての安全体制の確保については、現地日本大使館との連絡、現地在留のJICAや商社支社からの情報収集と連絡体制、その他関係諸機関との連絡体制、病院設備と来院者の対応関係についての調査、緊急時の患者空輸、医薬品の装備、熱帯病知識の周知、海外旅行保険への加入などが望ましいとのことであった。

     松園氏は、日本から多くの研究者が渡航するケニアの調査環境について、以下の4点の情報提供をおこなった。

    1. 渇水による電力供給不足
      1997年7月よりケニア全土で週3日の計画停電が行われてきたが、最近さらに状況は悪化し、毎週月曜から土曜までの6時半から18時まで配電停止、一部工業地域では月曜から土曜まで夜間配電停止、日曜は終日配電停止であり、この状況は10月、11月の少雨期開始ごろまでつづく可能性がある。都市部のホテルでは自家発電の対応がとられているが、ホテルに長期滞在する場合には、宿泊予定のホテルに事前に連絡をとって状況を確認しておくことが望ましい。

    2. 調査許可発行の担当部署の移管
      査許可の発行は1999年11月、従来の大統領府から教育科学技術省 (Ministry of Education, Science and Technology) に移管した。

    3. 調査許可取得
      調査許可の取得にあたっては、ケニア国内の研究機関に所属しなければならない。調査開始の半年前にリサーチ・プロポーザルを教育科学技術省に提出する必要があるが、必要書類を事前に提出さえしておけば、実際にはナイロビ到着後であっても、臨時許可証を取得することができる。なお、調査許可に関する審査機関 (National Council of Science and Technology) が現実にどの程度機能しているかは不明であるが、そのことが調査許可取得に際して問題となることはない。また滞在が3カ月をこえる場合にはスチューデント・ヴィザを取得しておく必要があり、その際には研究機関からイミグレーション・オフィスへのレターが必要となる。

    4. 日本学術振興会ナイロビ研究連絡センター
      このセンターは、ケニア国内での調査許可に関する連絡の取り次ぎや、緊急に必要な情報の提供、日本からの緊急連絡の取り次ぎ、また研究連絡に関するサーヴィスを行っている。

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