展示品
93 ヘルメルのピラミッド:カモア・アル=ヘルメル(概観と細部)
 ピラミッドの建造に使われた石は,ばら色を帯びた黄色の,密度が高く非常に硬い石灰岩である。しかしながらその基壇,即ち3段の台座は黒い溶岩である。建造物の異なった面はそれぞれ基本方位[東西南北]を向いている。南西の角は崩れ落ちて角錐の頂点まで一緒に落ちているが,そのようにして出来た穴から,建造物の表面は堅固であり,内側も外側と同じ材質を使ったことが認められる。我々のデッサン(図版93)よりも詳しい細部は不要である。ただ付け加えるならば,その構造の特異性が許す限りの正確さを以って我々はピラミッドを表現しようとしたということである。仮にピラミッドの寸法や浮き彫り模様について,我々のデッサンをロビンソンやポーターの描写と比較した際には,我々が可能な限りの誠意を込めて仕事をしたことを示すだけの顕著な相違点に気づかれるだろう。この大きな立方体の上部層はアラブ人の羊飼いたちや通りがかった人間が石を引っ掻いた殴り書きだらけであるが,その理由はと言えば根深い習性以外の何物でもない。まったくアラブ人というのは典型的に羊のような人々である。
1世紀か2世紀の建造と推定される高さ約30メートルの遺構だが、詳細は不明。ジョージ・ロビンソンは1830年に、ジェームズ・ポーターはほぼ同時期の1853年に、同地を訪れて旅行記を残したが、ここでもファン・デ・フェルデの強い対抗意識がうかがえる。