展示品
76 ヨルダン川,ナーブルスからサルトに向かう途上
 〔ヨルダン川に〕着いてみるとそこは,およそ100ピエ[約32.4メートル]は沈み込んでいようかという開いた地形の端である。それは大きさの点では2番目の谷であり,緑に覆われた両岸の間を大河が蛇行している(図版76)。ヨルダン川が氾濫時にしばしばその流れを変えることは容易にわかり,帯状になっているギョリュウや他の樹木にその変化の跡が表れている。半ば崩れ落ちた丘が谷を両側から挟んでいる。それらの石灰質は剥がれ落ちやすく,また白い色のせいで,遠目には巨大な野営地の天幕にも似ている。沼沢の危険な緑の中に,ローマ時代の古い橋のアーチが廃墟となってまだ建っている。この橋が崩壊して以来,大河には新たな流れが穿たれたが,殆ど深さがないために水位は我々の膝辺りまでしかない。この場所でヨルダン川を渡ってサルトへと向かうのである。
ヨルダン川の東岸と西岸では、川をはさんで同じ緯度に位置する町どうしで歴史的につながりが強かったという。ナーブルスはサルトと、エルサレムはアンマーンと、ヘブロンはカラクとつながる。パレスチナとヨルダンのつながりは、歴史的にも強かったことが分かる。