展示品
71 ガザ
 ベイト・ジブリーンを経由してエルサレムに戻る際に,中心都市であるガザをまったく見ないでペリシテを離れる訳にはいかない。一様にではないにしろガザは今日でも比較的大きく,住民は16,000人を数える。ガザの南東に半里離れたところにそびえる丘の上に身を置いてみよう。そこから,小さな丘の頂上とその中腹に立つ町,陽の光にきらめくミナレット群,みすぼらしい家々の上にかしいでいるナツメヤシの木々,北東にあるオリーブの見事な園,そして,古代の町の一部を覆い,地中海の紺碧の水平線を我々の目から半ば隠している砂丘などをじっくり眺めるとしよう。サムソンがその英雄的で不思議な生涯を,それ以上に英雄的で不思議な死によって終えた時代の栄華に思いを馳せよう。エレミア,アモス,ゼファニヤによってあまねくペリシテに,取り分けガザに対して発せられ,文字通り成就した預言の数々を思い起こそう。同様に,ローマ軍,サラセン軍,十字軍,次いでサラセン軍によって再度行われたガザの戦い,攻囲,征服,破壊を想像してみよう。そして最後に,我々の近くでひと休みをしながら砂漠の長旅に赴く準備をしている慎ましい隊商に目を留めよう。この光景(図版71)の中で我々は瞑想の多くの題材を得るだろう。
ガザ地区は、ヨルダン川西岸地区と並んでパレスチナ自治区を構成するアラブ人居住区である。2005年夏にはユダヤ人入植地が撤去され、寸断されていた市内交通が回復した。しかしその翌年、ハマースが与党に選出されると国際社会は経済制裁を開始し、物資不足が長期化している。