展示品
64 アイザリーヤ(ベタニア)
 我々は図版64の画を恐らくは,聖ルカによれば「救い主」の昇天が起こった場所から描いた。険しい小道を下るとベタニアまでは歩いてすぐである。従って福音書の話は,それがオリーブ山とベタニア界隈がその出来事の舞台であるとしている点で(「ルカによる福音書」24章50節,「使徒行録」1章12節)かなり正確である。今のエル=アイザリーヤの村には興味をそそるようなものは何もない。そこにあるのは多くの廃墟と近代的な家だけである。しかし,オリーブ山とその南側の麓にある丘によって作り出された奥まった場所というベタニアの位置や,エル=アイザリーヤの果実の木々からも察せられる豊かな果樹の実り,また鬱蒼とした緑陰など,これらのすべてが,黙想の夜を過ごすのに「救い主」が何故ベタニアを選ばれたのかを物語っている。甦りであり命である(「ヨハネの福音書」11章25節)御方の,神なる栄光への言い表せぬ愛にまつわる何と多くの思い出がこの場所に結び付けられていることか!
アル=アイザリーヤは、イスラエルがパレスチナとの領有権争いの中で、パレスチナ側に「首都エルサレム」として譲渡しようと企図する町である。その場所は旧市街から離れ、町の中心部との間に築かれた高さ8メートルの分離壁の内側には、許可なしに入ることができない。