展示品
61 エルサレム,ダマスクス門の外からの眺め
 進んでいる道の北側には,起伏があってところどころオリーブに覆われた(特にダマスクス門(図版61)の付近では)平原が広がっている。平原は北から南に走っている地形の沈降によって2つの部分に区切られているが,それらの部分は城壁の外側では殆ど見分けられないものの,町の内部では非常にはっきりと違いが表れている。そこでは,この一種の谷のようなものがモリヤ山とシオン山とを分けており,谷の北側への延長部分はベゼタとアクラという名を持っている。この谷はアル=ワードと呼ばれている。谷はシオン山とアクラ山の間で落ち込んでいるもうひとつの谷と町の中心部で出合い,合流した二つの谷はひとつの流れとなって,町の南に向かって低くなっている。谷はそこでシオン山と,オーフェルと呼ばれるモリヤ丘の分岐の間で深い峡谷となって終わる。これが歴史家のヨセフスがチロペオンと呼んだ谷であるが,或る者はダマスクス門から,また他の者はヤーファー門から始まるとしている。しかしこの二つ目の推測は,シオンを覆い尽くしている残骸の厚い層からも受け入れ難い。事実,両方の側にそびえている瓦礫の堆積を取り除いたら,シオンとアクラの間に現在続いている谷がかなりの部分消失してしまうことは大いにあり得るだろう。
■エルサレム,ダマスクス門を外から望む, 2011年12月(撮影:錦田愛子)
ダマスクス門はエルサレム旧市街の北側にある、非常に交通量の多い門である。階段状になった門の前の広場を降りて古い城壁をくぐると、両脇の商店と並んで新鮮な野菜などを売るパレスチナ女性の露天商の姿がある。夕方には嘆きの壁に向かうユダヤ教徒の姿もしばしば見かけられる。