ISEAプロジェクト代表者の東京外国語大学AA研准教授の床呂郁哉氏による趣旨説明に続き、AA研副所長・教授の飯塚正人氏による講演1「イスラームとは何か」と、鹿児島大学法文学部教授の黒田景子氏による講演2「仏教世界の中のイスラーム:南タイ・パタニ ムスリムの苦悩」が行われました。
飯塚氏は、日本人が抱いているイスラームに対する一般的なイメージを挙げ、中でも「奇妙な習慣」と「攻撃的」という2つの点について、その誤解の原因と実際のイスラーム、ムスリムの姿を解説いたしました。
黒田氏は、タイ観光庁のホームページを手がかりとして、タイにとっての少数派であるムスリムと、彼ら・彼女らが暮らす深南部3県が中央政府からどのように扱われているかについて、その歴史的な経緯と現状を解説いたしました。
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プロジェクト代表の床呂郁哉氏による趣旨説明および東南アジアのイスラームの概説のあと、川端隆史氏による「ハラール製品からみるマレーシアと世界」と、福島康博氏による「イスラーム金融の可能性を拓くマレーシア」という2つの講演が行われました。その後、休憩をはさんで質疑応答を実施しました。
会場には、堀江正彦大使ご夫妻をはじめ、在留邦人とそのご家族、留学生、マスコミ関係者などおよそ90名がつめかけ、多くの質問が出されるなど熱心に講演をお聴きいただきました。
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○公開イベント「FIELD+cafe 東南アジアのイスラームを知る」
2010年7月30日(金)東京都千代田区神田神保町のサロンド冨山房FOLIOにおいて、東京外国語大学AA研と東京外国語大学出版会の主催による「FIELD+ cafe 『東南アジアのイスラームを知る』」が開催されました。これは、AA研の広報誌である『FIELD+』のトークイベントで、各号の特集内容に合わせて、執筆者が分かりやすく解説を行うというものです。
本年7月に発行された『FIELD+』第4号では、「東南アジア イスラームの現在」と題し、ISEAプロジェクトの活動が特集として取り上げられ、プロジェクトメンバーのうち8名が原稿を担当しました。この特集を受けまして同トークイベントでは、ISEAメンバーである福島康博氏(東京外国語大学AA研 産官学連携研究員)が、「信仰と金儲けは両立するか? 浸透するイスラーム金融」というテーマで講演を行いました。
福島氏はイスラーム金融について、イスラームの思想、イスラームの現世・来世観からみた経済活動の位置づけ、イスラーム金融が誕生したきっかけ、イスラーム金融の仕組み、そして最近行ったマレーシアとインドネシアでの現地調査で得られた知見などを、分かりやすく解説してもらいました。
トークのあとは質問時間が設けられましたが、会場から多くの質問が寄せられ、予定時間をオーバーしてのトークイベントとなりました。
○「第四回 国際ワークショップ」
2010年7月10日(土) AA研マルチメディアセミナー室においてISEAプロジェクト、AA研コタキナバル・リエゾンオフィス共催による公開国際ワークショップが開催されました。
ISEAプロジェクト代表者兼コタキナバル・リエゾンオフィス長である東京外国語大学AA研准教授の床呂郁哉氏による開会の辞に続き、3本の報告が行われました。
Universiti Malaysia SabahのJacqueline Kitingan准教授の報告、"Cultural Diversity and Ethnographic Mapping in Sabah, Malaysia"では、同准教授が継続的に実施しているサバ州の各民族の分布調査の概要と調査結果をご報告いただきました。また、同准教授が撮影された各民族の伝統音楽について、楽器製作や演奏をおさめた動画をご披露いただきました。
Institute for Development Studies (Sabah)のFinchley G. Johniu上級研究員の報告、"Harvest Festival and Its Meaning to the Kadazandusun Community in Sabah"では、サバ州のカダザンドゥスンが行っている収穫祭の内容や文化的な意義付けをご報告いただきました。収穫祭は、ムハンマド聖誕祭やチャイニーズ・ニューイヤー、クリスマスなどとともにサバ州の祝日に指定されており、報告の中で同上級研究員は、同州における文化多様性と調和を強調されました。
Universiti Kebangsaan MalaysiaのShamsul A. B. 教授の報告、"From Conflict to Cohesion: The paradigmatic challenge in analyzing plural societies in Southeast Asia, Malaysia as a case study"では、マレーシアにおける文化的多様性と民族団間における対立と調和について、独立前後から今日へと至る歴史的変遷をご報告いただきました。とりわけ、ナジブ現首相は「1つのマレーシア」をスローガンにを掲げており、今後の見通しについて見解を示していただきました。
3名の報告の受けて、ISEAプロジェクト研究分担者で東京外国語大学准教授の左右田直規氏によるコメントをいただき、その後フロアーを含めてのディスカッションを行いました。
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○「第五回 公開セミナー」
2010年7月3日(土) 島根県立大学短期大学部松江キャンパスにおいて、ISEAプロジェクト企画によるISEA「公開セミナー」が開催されました。
ISEAプロジェクト代表者の東京外国語大学AA研准教授の床呂郁哉氏による趣旨説明と、講演1「イスラームを知る−東南アジア、フィリピンのイスラームを中心に」が行われ、休憩をはさんでAA研産学官連携研究員の福島康博氏の講演2「経済とイスラーム-マレーシアの事例から」が行われました。
その後、AA研副所長の飯塚正人氏を加えての質疑応答が行われました。会場からは、フィリピン・マレーシア両国の事例およびイスラーム全般についての質問が出されました。
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○「第三回 国際ワークショップ」
2010年1月23日(土) AA研マルチメディアセミナー室においてISEAプロジェクト、AA研コタキナバル・リエゾンオフィス共催による公開国際ワークショップが開催されました。ISEAプロジェクト代表兼リエゾンオフィス長の床呂郁哉准教授による開会の辞に続いて、タイのタマサート大学のChaiwatSatha-Anand教授による"Movements of Sacred Topographies:Mosques as Sites of Violence/Nonviolence in Southern Thailand " 、マレーシア国民大学のAzizah Kassim教授"Muslim Refugees in Malaysia: An Analysis of the Status of Rohingyas From Myanmar"と題した報告がおこなわれました。
Satha-Anand教授の報告は、南部タイにおける仏教徒とムスリムの対立の現状に焦点を当てたものでした。とりわけ、現地で撮影された事件現場の画像は、多くのことを訴えかけるものでした。
Kassim教授からは、ロヒンギャと呼ばれるミャンマーからの難民についてのマレーシアでの状況をご報告いただきました。UNHCRの統計資料や教授自身による現地調査を通じて、ロヒンギャのおかれた現状を明らかにしていただきました。
会場には、これらのテーマに関心がある方々、中東の難民問題との比較という問題意識を持った方々などを中心に多くの方にお集まりいただきました。また、日本におけるロヒンギャの人々に関する情報提供もいただきました。
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○「Martin van Bruinessen教授講演会」
2009年12月4日(金) AA研マルチメディア会議室において、ISEAプロジェクト、AA研中東イスラーム研究教育プロジェクト、AA研フォーラム共催企画による社会人類学者のマルティン・ファン・ブライネッセン教授(ユトレヒト大学)の講演会 “Post-Suharto Changes inIndonesian Muslim Discourse: Transnational Movements and Local CulturalResistance”が実施されました。
講演会では、ファン・ブライネッセン教授の調査地の一つであるインドネシアに関し、スハルト政権前後でのイスラームをめぐる政治的変化、とりわけ政党やムスリム団体の動向をご報告いただきました。また、ジャワ島チルボンでの調査の際に収められた貴重な映像を公開していただきました。
研究者の方々や大学院生の方を交え、参加者による活発な質疑応答も行われました。
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○「第四回 公開セミナー」
2009年7月4日(土) 岩手県立大学・アイーナキャンパスにおいて、ISEAプロジェクト企画によるISEA「公開セミナー」が開催されました。
ISEAプロジェクト代表者の東京外国語大学AA研床呂郁哉准教授による趣旨説明が行なわれたのに続いて、前半部は東京外国語大学AA研 西井凉子准教授 による「タイのムスリム」と題した講演がおこなわれました。
後半部は、岩手県立大学総合政策学部に在学する斉藤真奈美さんによる「日本のムスリム、岩手のムスリム」と題した講演が行われました。
一般社会人の方、岩手県立大学の学生も交えた参加者による活発な質疑応答がありました。(*報告要旨はこちらをご参照ください)