期間:2007年度-2008年度
文法現象が「なま」のものでなく,分析することによって立ち現れて来るものならば,観察する視野の拡大と深化によって文法現象は「再構築」されるものであり,またされるべきものである。本プロジェクトは,そういう意味での文法現象の再構築を,この十数年で個別言語の記述の蓄積にめざましい進展をみたチベット=ビルマ系諸言語の研究者が,各自の掘り起こしてきた言語事実と,それらを観察し記述する視点の広がりと深さを共有することによって行なおうとするものである。対象とする文法現象は,文とりわけ単文の構造の根幹にかかわる格の体系と,それに関連する諸現象である。
2008年度は,前年度に各メンバーが行った格体系に関する報告を集約することで浮かび上がった共通性の高いトピック―格体系(能格型,対格型など),他動詞 P項の標示形式の使い分け基準,P項標示形式によって標示される意味役割の範囲,場所的格の種類とその使い分け,等々―について議論を深める予定である。
趣旨説明 | 澤田英夫(主査、所員) | |
ロンウォー語の格体系 | 澤田英夫 | 発表要旨 |
メチェ語の格体系 | 桐生和幸(美作大学) | 発表要旨 |
格とその周辺:覚え書き | 澤田英夫 | 発表要旨 |
ナムイ語の格標識 | 西田文信(麗澤大学) | 発表要旨 |
Relational morphology in Seke and in other Tamangic languages | 本田伊早夫(名古屋短期大学) | 発表要旨 |
チノ語悠楽方言の格にまつわる問題 | 林範彦(神戸市外国語大学) | 発表要旨 |
ビルマ語の格標示について | 岡野賢二(東京外国語大学・非常勤講師) | 発表要旨 |
ムニャ語の格助詞 | 池田巧(京都大学) | 発表要旨 | |
西夏語の格に関して |
荒川慎太郎(所員) | 発表要旨 | |
研究成果報告へ向けた議論 (TB系言語の「格」現象についての着目点) |