AA研共同研究プロジェクト
「チベット=ビルマ系言語から見た文法現象の再構築1:格の体系とその周辺」

期間:2007年度-2008年度

このプロジェクトについて

文法現象が「なま」のものでなく,分析することによって立ち現れて来るものならば,観察する視野の拡大と深化によって文法現象は「再構築」されるものであり,またされるべきものである。本プロジェクトは,そういう意味での文法現象の再構築を,この十数年で個別言語の記述の蓄積にめざましい進展をみたチベット=ビルマ系諸言語の研究者が,各自の掘り起こしてきた言語事実と,それらを観察し記述する視点の広がりと深さを共有することによって行なおうとするものである。対象とする文法現象は,文とりわけ単文の構造の根幹にかかわる格の体系と,それに関連する諸現象である。

2008年度は,前年度に各メンバーが行った格体系に関する報告を集約することで浮かび上がった共通性の高いトピック―格体系(能格型,対格型など),他動詞 P項の標示形式の使い分け基準,P項標示形式によって標示される意味役割の範囲,場所的格の種類とその使い分け,等々―について議論を深める予定である。


プロジェクト・メンバー

主査

所員

共同研究員


研究会記録

2007年度第1回研究会

内容
趣旨説明 澤田英夫(主査、所員)
ロンウォー語の格体系                澤田英夫 発表要旨
メチェ語の格体系 桐生和幸(美作大学) 発表要旨
格とその周辺:覚え書き 澤田英夫 発表要旨

 

2007年度第2回研究会

内容
11月17日
チベット語ラサ方言の格標示の概要と能格-分裂能格性をdiscourse levelで見る- 星泉(所員) 発表要旨
チベット語アムド方言の格体系 海老原志穂(東京大学・院) 発表要旨
Case forms and other postpositions in Kinnauri (Pangi dialect) 高橋慶治(愛知県立大学) 発表要旨
ダパ語の格標識 白井聡子(京都大学) 発表要旨
 
11月18日
カムチベット語丹巴県二十四村(梭坡)方言の格 鈴木博之(日本学術振興会/国立民族学博物館) 発表要旨
ポー・カレン語の「格」 加藤昌彦(大阪大学) 発表要旨

 

2007年度第3回研究会

内容
ナムイ語の格標識 西田文信(麗澤大学) 発表要旨
Relational morphology in Seke and in other Tamangic languages 本田伊早夫(名古屋短期大学) 発表要旨
チノ語悠楽方言の格にまつわる問題 林範彦(神戸市外国語大学) 発表要旨
ビルマ語の格標示について 岡野賢二(東京外国語大学・非常勤講師) 発表要旨

 

2008年度第1回研究会

内容
ムニャ語の格助詞 池田巧(京都大学) 発表要旨
西夏語の格に関して
荒川慎太郎(所員) 発表要旨
研究成果報告へ向けた議論
(TB系言語の「格」現象についての着目点)

 

2008年度第2回研究会

内容
前回までの各メンバーの報告を踏まえてのディスカッション

 

2008年度第3回研究会

内容
研究成果報告へ向けた議論