1. スンナ派イマーマ論〜パート1
《スンナ派ウラマー(イスラーム法学者)の課題》
  1. 分派からの批判に答えること〜「現状」が正しいことを証明
  2. 「現状」(本当は、王朝による世俗政治)をイスラーム的な政治に改善すること
☆al-Mawardi(d.1058)のイマーマ論〜『統治の諸規則』
     a)カリフの職務:ウンマ防衛のほか、宗教・正義の維持、適法な刑罰・徴税の実施など
b)カリフの資格:五体満足、クライシュ族のほか、イスラーム法の知識、公正など
     【現状を擁護しつつ、カリフやスルターンにもシャリーアの施行を求める姿勢】
―――→ だが、反乱にともなう無政府状態を恐れ、ウラマーの議論は現状肯定一本に変化
     Al-Ghazali(d.1111)を経て、Ibn Jamaa(d.1333)が登場
     (軍事力だけでカリフになったカリフでも、服従は義務という結論に)

2. スンナ派イマーマ論〜パート2
《背景》パート1の末路(力による支配の肯定) ―――→ 国家はシャリーアと無関係に!
(イスラームの原則から見て、これでは困る)
☆Ibn Khaldun(d.1406)の政治思想
     ・王朝の五段階・三世代・120年周期説を提唱(『歴史序説』全3巻)
     (1)征服→(2)王朝建設→(3)頂点→(4)衰退→(5)滅亡 のサイクルをアサビーヤ(血の絆)で説明しつつ、シャリーアに従えば繁栄し続けるとも主張
     ・さらに、“シャリーアを施行する支配者だけが「カリフ」の名に価する”と主張
(当然、カリフが複数いても構わない)
―――→ 結論:
  1. 間違ったカリフも出たが、スンナ派の歴史はおおむね正しかった
  2. 今後もシャリーアを守る王=「カリフ」たちがスンナ派を導くべき
中東政治論地域研究(中東)中東・中央アジアの社会と文化宗教学A地域文化研究A
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