1. ジハード論とその世界観 |
☆jihad〜不信仰者との戦い、および不信仰者を撃退するために生命、財産、言論を捧げること。
cf.) jihad<jahada努力する→原義は「努力」 |
《目的》- イスラーム法が支配する法治国家の樹立と拡張。カリフが指揮者。成人ムスリム男子の参加が推奨される
トルコ、カリフ制を廃止(=ジハード指揮者の消滅)
- 異教徒の攻撃・侵入に対する防衛戦争。成人男子全員の義務
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★中東和平に反対するハマースの論理 |
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“カリフが不在でも「イスラームの家」を守る戦いは義務”
*ただし、1. 2. とも異教徒を改宗させることが目的ではない(下の2.を参照) |
☆ジハード論の背後にある世界分類思想 |
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a)ダール・アル=イスラーム(イスラームの家)
すでにイスラーム法の支配を受け入れた世界/住民の大多数が異教徒でも構わない(支配者がムスリムであればOK)。 |
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b)ダール・アル=ハルブ(戦争の家)
ウンマ(イスラーム共同体)に敵対する国々の領域 |
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c)ダール・アル=スルフ(和平の家)
ダール・アル=ハルブでも、ウンマが休戦条約を結んだ相手国の領域
(ただし、和平はあくまでも一時的なものと見なされる) |
2. 異教徒に関するイスラーム法の規定 |
☆原則:「宗教に強制はない」(コーラン2:256) |
☆異教徒に許される選択〜“コーランか、貢納か、剣か”
- イスラームに改宗〜利点:政治に参画して出世できる。人頭税が免除
- 元の宗教に留まり、ジズヤ(人頭税)を納める
代わりに徴兵とザカート(喜捨)が免除され、生命・財産・名誉も保護される
―――→ ズィンミー(庇護民)化
- あくまでムスリムと戦う
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☆イスラーム法に見られる異教徒差別規定 |
服装の制約、宣教禁止、ムスリムの目に触れる場所での宗教儀礼禁止、モスクより高い教会等をモスクの近くに建設することの禁止など。 |