海外学術調査フォーラム

連続ワークショップ 『フィールド・サイエンスと新しい学問の構築』第一回 講演(レジメ)

イネ科穀類の起源・系統文化・伝播に関する研究
 阪本 寧男(龍谷大学国際文化学部)

 1966年より1992年までの約25年間に、イネ科穀類ならびにその祖先野生種および近縁野生種を探索・収集する目的で、ユーラシア大陸とアフリカを中心にフィールドワークをおこない、収集したサンプルを用いて幅広い研究をおこなった。その際、基本的に心掛けたことは、

  1. 種子から胃袋まで”を考慮したフィールドワークをおこなう;
  2. できるだけ広い地域を踏査して、イネ科穀類を畑・市場・農家から収集し農耕慣行も聞き込む;
  3. 上記の野生種は雑草性を持つものが多いので、その生態的背景をよく把握する;
  4. 収集したサンプルを圃場などに栽植し、詳細な調査・分析をおこなう。

今回はそのうちの 2.3.の研究成果を報告する。


このような活動に伴う以下のような諸問題を解決する必要性を経験した。

  1. 調査地域での探索・収集をおこなうための公的許可の取得;
  2. それに伴う当該地域の研究者との共同調査;
  3. 畑におけるサンプリングの問題;
  4. 収集活動の挙動不審性;
  5. 収集サンプルの当該地域研究機関への折半分譲;
  6. サンプルの国外持ち出しの許可の取得;
  7. 植物検疫法に基づく日本国内への輸入許可の取得;
  8. 有用遺伝資源としてこれらのサンプルの系統保存事業の実施。