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    チベット牧畜民の伝統文化のフィールドアーカイビング

    星 泉
    (AA研)

      本発表では、AA研およびTUFiSCoで現在取り組んでいるフィールドアーカイビングについて、「フィールドワーク(F)を実施し、そこで得られたデータを適切にドキュメンテーション(D)し、様々な専門家の共有の場でアーカイビング(A)し、複数の視点でデータを検討することで、これまで可視化されてこなかった知を明らかにするとともに、得られた知を社会に共有するために適切なキュレーション(C)を施す」というプロセス全体を含むものと定義し、この流れをオープンエンドなサイクルとして捉え、様々な専門家とともに活動することで、各種成果を生み出す手法を提唱した。その実践例として、発表者らの進めている共同研究を紹介した。発表者らはチベットの牧畜文化に関する研究の端緒として民俗語彙の収集プロジェクトを立ち上げ、共同で現地調査を行い、データベースを共同構築しながら辞典編纂を行い、FDACのサイクルを回しながら『チベット牧畜文化辞典』を刊行した。その過程で得られた知識は、イラストレーターや映像作家など様々な専門家と協働することで、冊子や映像作品、企画展、再現料理、小説、民俗誌、百科事典的コラムなどの形で表現し、それらをすべて関連するものとして社会に広く提示することができた。以上のように、フィールドワークで得られたデータを共有の場に置き、様々な専門家と協働して活用することで、得られた知をより豊かにわかち合うことができる。