海外学術調査フォーラム

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    乳文化の視座からの牧畜論考―全地球的地域間比較と共同研究を通じて

    平田 昌弘
    (帯広畜産大学 人間科学研究部門)

    これまでに参画してきた学際的共同研究での経験をもとに、フィールドサイエンスの可能性と学際的共同研究の可能性について、乳文化、牧畜を事例に話題提供した。フィールドワークの魅力は、思いもよらない課題に遭遇するということである。私の場合は、環境保全のために西アジアのシリアに着任し、植生調査を通じ、牧畜民に出会い、生業の中心に乳文化が有ることに出会っていった。乳文化の事例研究、ユーラシア大陸における乳文化の仮説構築、乳文化の視座からの牧畜論へと発展していった。仮説構築は、自分の目で観察し、歩きながら考える中、直感的に閃くものであり、愚直に検証のためのデータを蓄積していく。自分の感性に訴えかけ、面白さを感じ、生涯のテーマとなる課題に出会えるところに、フィールドサイエンスの可能性がある。  学際的共同研究には幾つかの型がある。中心テーマを決めて、後は基本的には個人の力量に委ねる放任・個人成果重視型、共同研究者が密に連携しながらプロジェクトを推進する目的邁進型である。放任・個人成果重視型は、フィールドを観る目を鍛えられ、自由な発想でオリジナリティーが育まれるが、成果が出にくい分、如何に存在意義を形として提出していくかが問われる。一方、目的邁進型は、成果は膨大に発表されるが、個別データが真に融合しにくい傾向にある。自分の専門から一歩出て、研究成果が融合するための仕組みを如何に形成するかが課題である。