海外学術調査フォーラム

ワークショップ講師との個別質疑 BR2

講師中塚 武(名古屋大学環境学研究科)

ブレイクアウトルームに分かれて行われた議論の場には、口頭およびチャットでの参加者による質疑と、講師である中塚氏による応答が行われた。まず、中塚氏が共同研究を組織する際に、専門外の研究者とどのように出会ったのかという点について、実体験を踏まえて具体的にお話いただけた。氏によれば、それまで歴史研究者との密な交流はなかったため、学術・研究機関を訪れるなどして、関心を共有できそうな研究者を紹介してもらうところから開始したとのことであった。共同研究の組織にあたっては、共同研究者が研究テーマに対する理解を持つことが重要であるが、機関の紹介を通じた方法においては、その点が大変うまくいったとのことであった。また、フロアからは、研究室で留学生を育てることも、ゆくゆくは国際的な共同研究への発展に寄与するのではないかという声も聞かれた。このほかには、古気候データに関する質問がフロアから出た。例えば、木の年輪や地層、水層の間の関係性や、酸素同位体を用いた最新の古気候データは、それまでの古気候データの欠点を露呈させる結果となっているか否かについてである。後者については、酸素同位体を用いた古気候データは、それまでに発表されたデータと非常によく同期しているとのことであった。以上が議論の概要である。ヴァーチャルな議論空間ながらも、参加者の関心の高さがうかがえた。講師を務めてくださった中塚氏に心より感謝申し上げたい。


(報告: 熊倉 和歌子(AA研))