海外学術調査フォーラム

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  • VII サハラ以南アフリカ
  • VII サハラ以南アフリカ

    座長河合 香吏(AA研)
    椎野 若菜(AA研)
    情報提供講師金子 守恵(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
    タイトル「エチオピアにおける調査状況と実践的地域研究の試み」

     サハラ以南アフリカ分科会では、金子守恵氏(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 / 京都大学アフリカ地域研究資料センター)が情報提供講師として、「エチオピアにおける調査状況と実践的地域研究の試み」と題する報告を行った。

     後半では、金子氏の報告は大きく前半と後半に分かれ、前半ではエチオピアでの現地調査にまつわる諸情報が紹介された。現地情報源、エチオピアの調査状況、研究者の連携による調査状況の改善例、安全と安心に関わる取組という4つの論点を提示した上で、金子氏は、所属する研究・教育機関や学会の構成員の連携を通じた様々な現地情報の蒐集および発信の在り方、複雑化したビザ取得手続きへの対処事例、アフリカ各地の最新の現地情報を掲載した冊子の発行などに関して具体的に解説した。

     金子氏がエチオピア西南部で行った、研究と実践を架橋する実践的地域研究の一事例が紹介された。具体的には、金子氏らの募集に応じて集まった現地の人々が、低利用のエンセーテの繊維を用いた土産物の製作・商品化・販売に至る過程においてどのように振る舞い、また、そこに金子氏らが実践の当事者として如何に関与したのか(もしくは関与しなかったのか)がつぶさに紹介された。

     金子氏の報告を受けて、質疑応答では、現地の人々はどのような理由から野生のエンセーテを食用にしないのか、商品化の過程で製品の評価に金子氏らが関与する際にどのような議論があったのか、製品の評価などには金子氏以外にどのような人が関わったのか、エンセーテの繊維から具体的にどのような製品が作られたのか、土産物を扱う現地の業者などの関与はあったのか、製作する製品の雛型は誰が導入したのか、栽培されるエンセーテの品種の減少や品種の多様性の維持についての現状はどのようになっているのか、より多くの人が栽培するエンセーテの品種はどのような基準で選抜される傾向があるのかなどといった点についての議論がなされた。


    (報告: 苅谷 康太(AA研))