海外学術調査フォーラム

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  • IV 南アジア・西アジア・中央アジア・北アフリカ
  • IV 南アジア・西アジア・中央アジア・北アフリカ

    座長近藤 信彰(AA研)
    錦田 愛子(AA研)
    情報提供講師長野 宇規(神戸大学大学院農学研究科)
    タイトル「トルコ共和国東部の水資源開発と農業」

    南・西アジア・中央アジア・北アフリカ分科会は、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所の近藤信彰教授と同じく錦田愛子准教授を座長として、参加者20名(AA研所員を含む)を得て開催された。

    分科会前半では、参加者全員による簡単な自己紹介に続いて、神戸大学大学院農学研究科の長野宇規准教授により、「トルコ共和国東部の水資源開発と農業」と題して情報提供が行われた。トルコ共和国東部に位置する地中海沿岸地域とチグリス・ユーフラテス川上流域のふたつの地域において情報提供者がこれまで行ってきた調査プロジェクトの成果をもとに、両地域における大規模な農業用灌漑事業による水資源開発・管理のあり方が、国家管理から農民参加型管理への移行とそれに付随する諸問題を中心に説明された。また、地球温暖化のなかで将来的に水不足が予想される中、水資源の非効率的な過剰利用が見られる農業の現況を改善するには、政府機関や水管理組合、農民をはじめとする当事者の積極的な参加と協働に基づく問題発見と解決のシステムが必要であることが指摘され、その構築に向けた現在の試みが紹介された。情報提供の最後には、現地調査を行う際の留意事項や注意点、現地の共同研究者やカウンターパートとなる大学との関係などについて説明があった。情報提供に続く質疑応答では、当該地域における農業と灌漑の歴史や将来に予想される諸問題などについて、議論がかわされた。

    分科会後半では、情報提供者の調査地域であるチグリス・ユーフラテス川上流域が現在、外務省によって退避勧告地域、あるいは、渡航延期勧告地域などとされていることをうけて、これらの勧告に加えて渡航の是非の検討を含む外務省提供の海外安全情報の取り扱いや、調査対象地域に関する安全情報が出された場合の対応などについて、活発なやりとりがかわされ、盛況のうちに散会した。


    (報告:太田 信宏(AA研))