海外学術調査フォーラム

  • ホーム
  • next_to
  • 過去のフォーラム
  • next_to
  • 2013年度
  • next_to
  • IV 南・西アジア・北アフリカ
  • IV 南・西アジア・北アフリカ

    座長黒木 英充(AA研)
    近藤 信彰(AA研)
    話題提供者小牧 幸代(高崎経済大学地域政策学部)
    タイトル「インド・パキスタン・バングラデシュ・スリランカ・イラン・トルコにおけるイスラーム聖遺物信仰調査」

    南・西アジア・北アフリカ分科会は、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所の黒木英充教授と同じく近藤信彰准教授を座長として、参加者12名(AA研所員を含む)を得て開催された。
    分科会前半では、参加者全員による簡単な自己紹介に続いて、高崎経済大学地域政策学部の小牧幸代教授により、「インド・パキスタン・バングラデシュ・スリランカ・イラン・トルコにおけるイスラーム聖遺物信仰調査――オリジナルとレプリカとグッズの種類と分析を通して見えてくる『イスラーム地域』像――」と題して話題提供が行われた。南・西アジア諸国に現存するイスラームの聖遺物(主に預言者ムハンマドに由来する)の種類と分布に関して話題提供者がこれまでに行ってきた人類学的調査の概要が紹介され、「オリジナル」とされている聖遺物とは異なる「レプリカ」の聖遺物や、「グッズ」として販売されているボップ化・商品化された聖遺物を含む各種の聖遺物をめぐる人々の観念や信仰のあり方について考察が示された。また、聖遺物信仰の調査研究が新しい「イスラーム地域」像、あるいは、イスーラム理解を切り開く可能性が指摘された。話題提供の最後には、現地調査を行う際の留意事項や情報収集の方法、カウンターパートとの関係などについて説明があった。話題提供に続く質疑応答では、イスラーム聖遺物信仰に関する地域や時代による差異の可能性、聖遺物信仰のあり方から見えてくるイスラームとその他の宗教との違いと共通性などについて、議論がかわされた。
    分科会後半では、出席者が現地調査を行う際に直面した諸問題について、幅広く情報と意見の交換が行われた。現地調査を行う際に取得すべき査証の種類や、その取得手続き、現地調査の円滑な遂行に不可欠なカウンターパートの存在などについて、活発なやりとりがかわされ、盛況のうちに散会した。


    (報告:太田 信宏(AA研))