海外学術調査フォーラム
II 島嶼部東南アジア・太平洋・中南米
座長 | 岡本 正明(京都大学東南アジア研究所) 髙樋 さち子(秋田大学教育文化学部) |
話題提供者 | 服部 俊夫(東北大学災害科学国際研究所) |
タイトル | 「マニラの感染症とバイオーマーカー研究」 |
■学術交流協定を結んでいるマニラのSan Lazaro Hospital(DOH:健康保健省の直轄病院)との国際共同研究の内容の紹介:フィリピン、マニラにおける結核、デング熱、エイズなどを含む感染症の現状と、近年の傾向などに関する医学的知見などの内容。
■分科会参加者自己紹介に続き、海外調査をめぐる実践的な問題点に関して参加者相互の間で以下のような内容を含む質疑応答を実施した(一部略)。
質問:血液などの医学的・生物学的資料・検体等の国外からの持ち出しはどうなっているか?
答:インドネシアの場合、協力者の留学生などに持ってきてもらう事例がある。サルなど生物標本はやはり協力者の人に持ってきてもらう。近年とくに名古屋議定書の締結以降には、生物標本を原産国から別の国へ持ち出すのは難しい。ゆえに原産国の研究協力者の人に持ってきてもらう方法を取らざるをえない場合がある。また扱いは国ごとに異なる。
また資料の日本への持ち込みも厳しい場合がある。たとえば血清の持ち込み等は厳しい。
質問:旅費・日当などの単価の規定などは各大学ではどうなっているか?
どういう処理をされているのか?
答:行き先に応じてA地域、B地域で単価が異なる。アフリカでも規定の支給額では赤字になることがある。それで困る。その場合は赤字のまま。これは各大学法人で扱いが会計規則、旅費規程が異なる。減額措置は出張者が申しでれば可能。
質問:自分の大学では調査費を前払いしてくれず、自腹で立替するしかない。場合によっては膨大な額になる。他の大学ではどう処理しているのか?
答:精算払いだけではなく概算払いが可能な筈。ただし大学の事務によっては扱いが異なる。
質問:現地で謝金を学生に支払う場合、監督者として担当教官が必要だと言われた。それだと日本から出張中しか学生を雇用できない。何かやり方はないか?
答:自分の大学の場合は、現地のカウンターパートの教官に監督者になってもらった。それで日本人の出張者が不在の場合でも現地で雇用するのは可能。その場合、大学によってはカウンターパートとの契約書・顔写真とIDのコピーなどが必要とされることもある。
質問:渡航規制に関して外務省の海外渡航情報などを理由にストップをかけられた人はいるか?
答:豚インフルエンザのときにキャンセルせよと言われた。結果的に出張先に出張できなかったことがある。
(報告:床呂 郁哉(AA研))