海外学術調査フォーラム

2011(平成23)年度 海外学術調査フェスタ 出展者一覧

インドネシアの泥炭・森林における火災と炭素管理

研究代表者:大崎 満

発表:広瀬 和世(北海道大学サステイナビリティ学教育研究センター)

本プロジェクトは、独立行政法人科学技術振興機構(JST)と独立行政法人国際協力機構(JICA)によって運営される「地球規模課題対応国際科学技術協力(通称SATREPS)」プロジェクトで、インドネシア中部カリマンタン州を対象に、平成25年度までの5年間実施される予定。研究対象地には、地球上の熱帯泥炭のほぼ半分が分布し(Wetland International, 2008)多量の炭素が蓄積されているが、近年の急速な開発や違法伐採が引き起こす大規模森林火災や泥炭の乾燥化により、膨大な二酸化炭素が放出されている。本プロジェクトは、熱帯泥炭からの二酸化炭素放出量を抑制するための統合的炭素管理システムを構築し、地球温暖化抑止に貢献することを最終目標としている。

ジャコウネズミの人為移動と南部アジア・東アフリカの海洋交易

研究代表者/発表:大舘 智志(北海道大学低温科学研究所)

 トガリネズミ科動物のジャコウネズミは東アジア南部からパキスタンにかけての南部アジア地域が原産であるが、インド洋貿易や南蛮貿易などによってインドネシア、イラン、アラビア半島、アフリカ東海岸、マダガスカル、九州などに人為的に移動したと考えられている。しかし、その詳細は不明である。この研究ではどのような歴史的過程で分布を広げたか、各地域でどのように認識されているのかなどを明らかにしたい。そのためには広範囲な対象地域において、分子系統学、遺伝学、歴史学、民俗学などの様々な学問分野の研究者との有機的協力体制が必要である。マイナーな動物が秘めた人と動物のダイナミックな関係史の解明を是非とも進めましょう!

海面上昇に対するツバル国の生態工学的維持

研究代表者:茅根 創

発表:細野 隆史(東京大学理学部地球惑星科学)

 近年の地球温暖化と海面上昇に対する関心の高まりの中で、太平洋に浮かぶツバル国に(沈みつつある国としての)注目が集まっている。本国際共同研究では、ツバルはすでに海面上昇によって沈みつつあるという単純な見方を排し、現在起こっている問題は主にローカルな問題であり、それが将来起こるグローバルな環境変動に対してツバルが自然に持っていた復元力を損ねているという視点に立って、復元力の再生を目指している。すなわち、沿岸生態系の保全・修復を人為的に支援することによって、生物による砂生産の促進、沿岸流による砂の運搬メカニズムの正常化、海岸への砂堆積の促進を試みている。

ダスト-植生相互作用観測:GCOEプログラム「乾燥地科学拠点の世界展開」による取り組み

研究代表者/発表:篠田 雅人

 「春の枯れ草や土壌水分が黄砂(ダスト)発生にどう影響するか」という疑問に答えるため,日蒙米共同プロジェクト,ダスト-植生相互作用観測 が行われている.春のさまざまな地表面状態には,前年夏の降雨や草原の状態,冬の積雪などがメモリとして影響し,それらの要因の組合せにより黄砂発生の起こりやすさが決まる.黄砂発生の起こりやすさは,黄砂が舞い上がり始める風速(臨界風速)で指標化することができる.黄砂発生の臨界風速と地表面状態の関係から,黄砂発生の起こりやすさの分布図(黄砂ハザードマップ)を作成し,最終的には,このハザードマップと天気(風速)の短期予報を組み合わせて,黄砂発生リスクの評価が可能となる.

総合地球環境学研究所における研究プロジェクト概要

発表:渡邊 三津子(総合地球環境学研究所)

海岸漂着プラスチックを用いた地球規模化学汚染モニタリング

研究代表者/発表:高田 秀重(東京農工大学)

 International Pellet Watch (IPW) とは、レジンペレットというプラスチックの粒を用いた、有害化学物質による海洋汚染の地球規模モニタリングです。レジンペレットは直径3mm程度のプラスチック粒で、プラスチック製品の中間材料です。取り扱いや運搬の際に環境へ漏出し、雨で流され河川を経て海に流れ込み、世界中の海岸に漂着します。レジンペレットは海水中から百万倍程度の倍率で有害化学物質を濃縮しています。そこで世界中の市民、NGOに呼びかけて、レジンペレットを東京農工大学へ送ってもらい、分析し、分析結果をwebで公開しています。現在まで40ヵ国200地点からレジンペレットが集まっていますが、さらに多くの国からレジンペレットを求めています。

データ中心アプローチから読み解く人間と社会

研究代表者/発表:中村 大、松森 智彦(総合地球環境学研究所)

中国東北地方の悪性腫瘍と関連疾患の発症要因の学術調査

研究代表者/発表:蓮井 和久(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科)

 鼻型NK/T細胞リンパ腫 (NKTCL) は、日本で少数見られ、中国で多数見られる。この研究は、NKTCLの未解決課題を、海外学術共同研究で、研究の倫理的対応を行い、中国東北地方の鼻咽頭リンパ腫を収集し、特異な共生樹状細胞の存在と微小扁平上皮癌の併存を明らかにし、EBV感染はその発癌後期以降に関与し自己貪食を亢進させ特異な壊死である自己貪食細胞死を生じ、点突然変異を生じる可能性のあるDNA修飾の検索で腫瘍化に伴う腫瘍細胞の抗酸化性を見出し、環境因子はその発癌前期に関与することを示唆すると共に、次段階の検索であるNKTCLの発癌の分子機序の妥当で期待出来る解析方法を示唆した。

日仏ひきこもり比較共同研究

研究代表者/発表:古橋 忠晃(名古屋大学医学部大学院精神健康医学/学生相談総合センター)

 近年、ヨーロッパのとりわけフランスおいて、日本と同様の「ひきこもり」の青年が出現していると言われる。多領域の専門家で構成された我々日仏研究チームは、平成22年度より、科学研究費・基盤研究B(社会福祉学・海外調査)の助成に基づいて、フランスの青年のひきこもりについて調査を進め、日本との比較共同研究を開始した。本発表では二年目の中間報告を行う。「ひきこもり」は精神医療との関係を考えることが重要である。2010年9月、2011年3月、5月に、日本の研究メンバーが、フランスの青少年治療施設を訪れ、治療者へのインタビューなどを通して、「ひきこもり」とされるフランスの青少年の調査を行ったので、その報告を行う。

国際協力における歴史都市の保全再生の展開 シリア国ダマスカスの事例

研究代表者/発表:松原 康介(筑波大学大学院システム情報工学研究科)

野生生物と人間の共生を通じた熱帯林の生物多様性保全

研究代表者:山極 寿一

発表:松浦 直毅(環境教育・社会経済班)(日本学術振興会/京都大学)

 2009年度にはじまった本研究プロジェクトの目的は、生物多様性が高く固有種の多いガボン共和国ムカラバ国立公園において、熱帯林生態系の保全技術を確立し、人と自然の適正な接触による環境保全型観光事業を創出することである。ガボン熱帯生態研究所(IRET)の研究者と共同で、以下の5つの課題に取り組んでいる。(1) 生物多様性保全のための基礎調査、(2) 動植物の遺伝解析と多様性の分析、(3) 野生動物と人間の接触状況に関する調査、(4) 科学的エコツーリズムの開発、(5) 社会経済調査と環境教育。本発表では、これまでに得られた成果とプロジェクトの現状を報告する。

野生生物と人間の共生を通じた熱帯林の生物多様性保全

研究代表者:山極 壽一

発表:岩田 有史(生態学・遺伝学・獣医学班)(中部学院大学こども学部)


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